恋をしよう/絶望ライン工 独身獄中記㉚

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公開日:2024/10/30

絶望ライン工 独身獄中記

いや、するな。
自分含めおじさんは絶対に恋をするな。迷惑だから。
独身中年男性はただでさえ世に疎まれる存在なのに、職場の若い女性にちょっと優しくされたくらいで勘違いをする。
「○○ちゃんの彼氏は幸せ者だね~」
などと謳い、低リスクで恋人の有無を確認する手段をいくつも持っている。
そして若い女性は皆年上が好きだと妄信し、猛進する。
放っておけば50歳になるっていうのに、永遠に20代女性を恋愛対象としている。
そして同年代は「年増である」という理由でふるい落とす。

遠くから見てニヤニヤと妄想するだけなら可愛いものだが、いや可愛くはないか。残念ながらおじさんは信じたいものしか信じない。
「若い女性はおじさんが大好き!」という内容のYouTubeチャンネルを崇めるように視聴している。
もちろん私も観ております。若い女性はおじさんが大好き!

世の中に迷惑YouTuberは数多く存在しているが、真なる社会悪は弱者男性向けの恋愛指南チャンネルのように思う。
職場の女性にLINEを聞こう。仲良くなって食事に誘っちゃおう。
それをされた側にはまったく寄り添わず、男ならあたって砕けろの独りよがりな精神論は多くの男性から支持されている。
もちろん私も支持しております。若い女性はおじさんが大好き!

職場という特殊な環境下において、食事の誘いは断りにくい。
年上の男性、上司だったりしたら尚更である。
そこにつけこむのが我々おじさんである。
休日に仕事の内容をLINEするのも効果的だ。既読スルーは許されない。
チームズやスラックにではなく、ここぞとばかりに個人LINEへ飛ばす。
「週明け対応ヨロシク!今日は彼氏とデートかな?休みのところゴメンね」
もちろん低リスクで恋人の有無を確認する一文を添えるのを忘れない。
これは魔法の言葉だ、ネット広告で出てくる絶対儲かるビジネスより確度が高い。

おじさんにLINEを知られてしまうのは仕方がない。仕事をしていれば避けられないタイミングで聞かれる場合もある。
しかしながら絶対に教えてはいけないのがSNSアカウントである。殊にインスタはかなり厳しい。
おじさんである自分が言うのだから絶対である。
旅行に行った写真を投稿しようものなら「彼氏と行ったのカナ!?(^^;)」とありがたいコメントだけではなく同時にメッセージも飛んでくる。
「実はオレも、TWICE好きなんだよね。」
フォローしてるアカウントから趣味嗜好もバレ、好きなK-POPの話題を振ってくるようになる。
女性のSNSから趣味嗜好を探り、話題を合わせて距離を縮めちゃおう。
件の恋愛指南チャンネルのありがたい教えである。まったく的を得ている。合理的だ。
もちろん私も実践しております。若い女性はおじさんが大好き!

輪をかけてたちが悪いことに、おじさんは女性なら誰にでもいくわけではない。
容姿や性格を考慮した上、自分でもいけそうな人を選別する選民思想の持主である。
おとなしそうな、押しに弱そうな、そしてちょっと地味な女性を好む傾向にある。
新宿に生息するぶつかりおじさんと本質はさして変わらない、哀しく卑劣な存在です。
金髪のギャルやタトゥーだらけの女性には絶対いかないんだなァ、怖いもの。
食事に誘われたら同等か、ちょっと下に見られていると思ったほうがいい。
まったく失礼極まりない。独身中年男性を代表し、ここにお詫び申し上げる。

では我々のように恋するロマンティックおじさんに目をつけられた場合、どのように対処するのが適切か。
ここまで読んでくだすった皆様へ、特別に伝授したいと思います。

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「若い女性はおじさんが大好き!」

<第31回に続く>

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絶望ライン工(ぜつぼうらいんこう)
41歳独身男性。工場勤務をしながら日々の有様を配信する。柴犬と暮らす。