女子高生が突然の異世界転移! 与えられた「ポーション生成能力」で、個性派揃いの仲間たちと異世界ライフを切り開く!
PR 公開日:2024/11/12
できるものなら一度は経験してみたい、異世界転生や異世界転移。でもそれは、戦闘系のチート能力を授かっていたり、神様的存在のサポートがあったり、早々に権力者に気に入られて囲われたりと、なんとなく身の安全が保障される状態を思い浮かべるから。だが、もし無力な状態で見覚えのない本一冊とともに放り出されたら――。
『ポーション、わが身を助ける』(岩船晶:原作、戸部淑:漫画/主婦の友社)は、普通の女子高生・カエデが、突然見知らぬ路地裏へ異世界転移するところから始まる物語。
所持していたのは、元々持っていたリュックやペットボトルのお茶、教科書や筆記用具、圏外で使えない携帯電話などの所持品と、見たことのない一冊の本のみ。武器や防具もなければ、よくある「神の声」らしきものも聞こえてこない。ステータス画面もない。
カエデは途方に暮れながらも、少しでもヒントを得ようと本を開く。するとそこには、「あなたは私のわがままで選ばれました」「(本に書かれている)レシピを活用して生きてください」という説明と、「バロウ」という名前が書かれていた。
本にはポーションなどの薬や武器、防具などを作るための方法が書かれていたが、埋まっているのはごく一部。あとは白紙の状態だった。カエデは飢えずに生き残るため、そして「バロウ」を探して元の世界へ帰るため、まずは本に書かれている方法でポーションを作って売ることにしたのだった。
ポーションの作り方は簡単で、そこら辺に生えている草と水を揃えて、本に触れている状態で「生成」と唱えるだけ。これが結構な値段で売れるため、ひとまず生活には困らなくなった。
獣人やエルフ、ドラゴンなどのいる見知らぬ世界での生活に不安はあったが、護衛を雇ったり、売ったポーションがきっかけで人と繋がったりしながら、カエデは少しずつ信頼できる仲間を増やしつつ生活を整えていく。
カエデは元々、日本で普通に暮らしていた高校生。危険な異世界でうまく世渡りできるほどの人生経験を備えていない。それゆえ強盗に襲われるなど危険な目にも遭いかけるが、それでも立ち止まらず、やや無防備ながらも真っ直ぐな心で進んでいく。そんなカエデのひたむきさに、裏表のない優しい性格に、見ているこちらも応援せずにはいられない。
また、不愛想ながらも実は優しく誠実なエルフの男性・アルス、何かと面倒をみてくれる頭の切れるお姉さん的存在・レイ、買った家に住み着いていたちょっと臆病な妖精・ニナ、訳アリらしい狼族の奴隷・カルデノなど、個性的かつ魅力的なキャラクターが次々と登場してくるのも嬉しいポイントの一つ。
次はどんな出会いがあるのかと、読み進めれば読み進めるほどワクワクが増していく。筆者個人としては、特にニナとのやり取りが可愛すぎてとても心が癒された。
ここから、カエデは無事「バロウ」に出会い、日本へ帰ることができるのだろうか? ニナをはじめとする妖精たちのこれまでや、カルデノが奴隷になった経緯も気になる。さらには、カエデと同じ日本から転移してきたという「ゴトー」という男性の霊も現れて――!? カエデがこれからどんな道をたどり、物語がどういう結末を迎えるのか、ぜひとも最後まで見守りたい。
文=月乃雫