ゆりやんレトリィバァ「体重とか見た目にとらわれたくない」。「極悪女王」で40㎏増量した体重と自分らしく向き合う体づくり【インタビュー】

健康・美容

公開日:2024/11/26

ゆりやんレトリィバァさん

 幼い頃から憧れたアメリカで活躍することを目標に、2024年内にアメリカ移住を公言しているゆりやんレトリィバァさん。2019年にオーディション番組『アメリカズゴットタレント』に出演、2021年にR-1グランプリで優勝して芸人としての目標を達成し、今年はNetflix「極悪女王」の主演でグローバルに知名度を広げるなど、着実に進化を続けている。

 11月に刊行する著書『じぶん BIG LOVE!♡♡♡ 〜ゆりやん体づくり本〜』(集英社)では、パーソナルトレーナー岡部友さんのもとで5年間取り組んできた自身の食事やトレーニングを紹介している。彼女が自分自身を好きになり、「のびのび生きられるようになった」と語るトレーニングとは——。

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●体をつくるための「食べる」トレーニング

——岡部友さんのトレーニングで約45キロ減量されて。タイトルに「体づくり本」とありますが、ダイエット本とはまた違うのでしょうか。

ゆりやんレトリィバァ(以下、ゆりやん):ダイエットといえばダイエットですけど。ただ、ダイエットって「痩せる」とか「細い」のが目標になるイメージがあって。数字が変わればそれでいいっていう考え方が好きではないというか。(岡部)友さんに教えられながら、自分らしく健康になれるようにトレーニングしてきたので、ダイエットとは言いたくないなって思いました。

——そもそもの目的が、痩せるというより、自分らしく健康になること。長く続けられるのも特徴だと感じました。

ゆりやん:今までのダイエット企画では「これは食べてはいけない」「やらないといけない」みたいに“いけない”が多くて、一時的に頑張れても一生続けるのって無理だし、果たしてそれが体にとっていいことかどうかも定かじゃなかったんですよ。でも友さんは、食べたもので体ができるから、体をつくるには何を食べたらいいのか、根本的なことを教えてくれて。

「食べてはいけない」と言われると結局、我慢できなくなって食べてしまう。でも「これは食べたほうがいい」って考えながら食べていると、食べすぎることがなくなったし、今まで食べたいと思っていたジャンクな物がほしくなくなりました。逆に、そういうものを食べるほうがストレスになっています。

 それを続けるうちに、自分で自分の体をつくっているような感覚になりました。誰かとご飯を食べるときも「この時間だから、外食ならこれを食べよう」ってシチュエーションに合わせて食べるものを選べるようになっています。

——ポジティブな気持ちで続けられそうです。ジャンクな物の誘惑に負けないというのも大きな変化でしょうね。

ゆりやん:前はたくさん食べないと気が済まなかったのに。食べすぎると体に負担がかかるとか老けるとか、良くない理由がわかると食べたくなくなります。

——体づくりの知識を増やし、トレーナーの資格まで取得されたそうですね。

ゆりやん:「これを食べるだけでOK」っていうダイエットに嫌気がさしていて、本当のことを知りたかったし、今の体に何が必要で何が必要ないのかを、自分で選択できるようになりたかったから。自分の理解を深めるためなので、人にはうまく説明できないんですけど。

ゆりやんレトリィバァさん

●私は私。自分の守り方が変わった

——この本に紹介されている食事やトレーニングを今はどのように続けていますか?

ゆりやん:本に載っていることは基本的に毎日。

——毎日のようにトレーニングを?

ゆりやん:はい。行っています。

——朝の野菜ジュースも毎日。

ゆりやん:あれは、面倒くさい日はやらないんですけど。

——そこは無理なく(笑)。

ゆりやん:そうです。こういうお話のときに、体重とか見た目の変化に惑わされたくなくて。私は私で、自分のベストで生きているから、そんなんはもうほっといてほしいって思うんですよ。モデルさんとかはそういうお仕事やから、それは素晴らしいんですけど。足の長さも顔の大きさも違うから、そこを目指しても同じにはなれない。ネガティブな意味ではなく、物理的になれないのに、そこばっかり目指して自分を下げるのはやめたほうがいいんですよ。自分が持っているものでどれだけベストにできるかっていうことを、教えてもらうなかで感じましたね。

——本にも「変えられるところと変えられないところがある」とあって、勇気づけられました。

ゆりやん:変えられないところに対して残念だとか全然思わないですね。変われたのはめっちゃ変われました。姿勢が良くなったし、筋肉がついて自分に自信を持って生活できているし。私は今の体が大好き。体型や骨格は人それぞれだから、足長い人と短い人、細い人と太い人がいても、それでいいんですよ。こうじゃないとダメっていうのを、世の中が言いすぎているような気がします。

 じゃあなんでトレーニングを続けているんですかって聞かれたら、健康でいたいから。体は一個しかないし、それで生きていくなら、自分が持っているものを最大限に活かしたいじゃないですか。自分の好きな体で健康に生きたいだけなんですよね。

——「自分で変わろうと思わないと変わらない」という言葉もあって、マインドの切り替えもトレーニングの軸だと感じました。最初はむずかしいかもしれませんが。

ゆりやん:トレーニングをしていると、しんどいことを乗り越えていくじゃないですか。できないと思っていた1回ができたりとか、筋肉がついたりとか。それが積み重なると知らないうちに自信がついているし、自分を大事にする気持ちが強くなるので、マインドは無理に変えるのではなく、積み重ねることで自然と変えていくしかないと思います。

——2年かけて45キロ痩せたあと、「極悪女王」の役づくりで40キロ増やし、そこからの再開。筋肉がついてからの減量は一段と大変だと聞きました。どのようにモチベーションを保っていますか?

ゆりやん:私の場合は75キロがコンフォートゾーン(自分の身体にちょうどいい体重)で、そこを超えるのは大変。今は73キロです。正直、75キロでも65キロでもいいんですけど、「戻ってない」とか言われると腹立つじゃないですか。だから、ちゃんと自分でコントロールしていることを見せたいと思って。黙らせたいだけだから(笑)、焦ってはないんですけど、数字が目安になるのは事実なので「こんなにやってるのに」「なんで変わらないんだろう」と思うことはありました。もうこれくらいでいいかと思ったりはしますけど、やっぱり友さんがそばにいてくれるのは大きいですね。

ゆりやんレトリィバァさん

——自分自身ではリミットを決めていないんですね。

ゆりやん:本当は、この本の撮影までに60キロ台にしたかったんですけど、もう撮影が終わったし、むしろ食べる量を増やしたりして。今はちょっとずつ続ければいいやって感じですかね。

——今後も続けていく予定なんですね。

ゆりやん:自分は普通のことをしているつもりなので、いつまでやるとかはなくて。ストイックですねって言ってもらうんですけど、「歯磨いてる」「ストイックですね、毎日磨くんですか」「毎日磨くでしょ」みたいな感じです。

 体重が増えたとしても、すぐに自分がいいと思える体重に戻れるようになりたいと思います。「食べすぎたからもういい、明日も食べる」とあきらめるのではなく、「食べすぎたから明日は少し胃を休めよう」とか。

——自分の体に優しくなれそうです。

ゆりやん:はい。そうです。自分が可愛がらないと誰も可愛がってくれないですもんね。

——たしかに、誰かが自分の胃を休めてはくれませんし。ちなみに、考え方が違っていたら申し訳ないんですけど…。

ゆりやん:怒り出したりしないので(笑)。ややこしいやつですいません。お気遣いなく。言葉選ばないでください。

——では、お言葉に甘えて…。以前は「自分なんて」と自分に自信がなかったとお話しされていました。体づくりで自信がついた今、お笑いへの向き合い方にも変化はありますか?

ゆりやん:あ~。それはいちばん腹立つポイントなので、怒り出したらすいません。えっと、何から怒り始めたらいいかな…。

——(笑)。

ゆりやん:子どものとき、アイドルになりたかったんですよ。でも無理やな、芸人いいやん、芸人なら私も輝けるかもって。芸人になったらブサイクとかデブとか言われて。でも、自分のネガティブポイントが強みになったから、隠れて生きていかなくてよかったし、助けられたし、自虐するのも普通やと思ってて。これが私だからいいよねって、自分を守っていたつもりだったんですけど。

 自堕落な生活をずっと続けていたら、2019年のある日、自分って何なんだろうって思ったんですよ。健康に産んで育ててもらって、太ってることをネタにしたつもりじゃないけど、ラクやからそっちを選んで、結果的にめっちゃ太って。でもそういう自分が可愛いとか好きとか思えない。もうこの体ええわ、飽きた。変わらないといけないと思って。以前ダイエット企画で会った友さんに会いに行ったら、「もうこのスタイルでやりきったから、次は新しい自分になって、知らなかったフィールドに行けるように頑張ろう」と言ってくれて。

 だいぶ減量した頃、けっこう言われたんですよ「芸人としての武器捨てるんですか」「痩せたとこで意味あるんですか」「そもそもキレイじゃないですよね」って。私は自分がおもしろいと思うことをやってきただけやのに、デブとかブスとかでしか見られてなかったんやっていうのが、ショックっていうか、そんな感じなんやと思って。

 でもトレーニングを始めてから、ずっと優勝できなくて悔しい想いをしていたR-1グランプリで優勝して。おもしろいと思うことを認められたのが嬉しかった。都合いい話って思われるかもしれないですけど、別にそういうつもりはなくて、見た目がどうこうではなく、私は私として生きているだけなんです。

——おっしゃる通り、世間につくりあげられたイメージがあったのかもしれません。

ゆりやん:こればっかりは黙ってられないですね。「ふーん。でも私のほうが細胞キレイやし、こっちのほうが絶対長生きするし。ごちゃごちゃ言わんで」って。言わないほうがいいのはわかってるんですけど。自分の夢に向かって一生懸命生きてたら、人のこと気にならへんのに。

 自堕落な生活をしてるときは、何を言われても半ばあきらめていたけど、トレーニングしていると、スタイルが良くなったとかじゃなくて、元気になるから、可愛がってる自分のことをとやかく言われたくないというか。前は自分を下げることで守ってたけど、今はもう何言われてもいいって思います。今は真っ向から向かっていける。守り方が変わりました。

ゆりやんレトリィバァさん

●なりたい自分があるから自分を信じる

——年内のアメリカ移住を公言されていて、有言実行の人というイメージがあります。これから進む道筋をいつもどのように決めているのですか?

ゆりやん:ありがとうございます。でも、自分でもわからないんです。アメリカでこういうテレビ出たいなとか、アメリカで売れたいなとか、漠然とした想いはあるんですけど、計画性がなくて。やりたいなと思ったことをやっているというか。

 小学3年生のとき、鉄棒がクラスでひとりだけできなくて。でもやらないといけないから、毎日毎日練習したらできたんですよ。前回りとか、いちばんベーシックなものですけど。そのとき、人間って練習したらできないことってないんだって心から思ったんですよ。で、逆上がりもできないわけがないと思って人生で初めて挑戦したら、1回でできた。そこからはまたできなくなって、また練習したんですけど(笑)。そしたら、できるって思ったことは全部できるんだって思えてきて。それからというもの、できないと思うことがないんです。イヤな意味じゃなくて。

 芸人も、なりたいと思えばなれるもんやって思ってて。月曜日の次は火曜日ですよね、みたいな感じで、大人になったら芸人になりますよね、みたいな感覚。なんとかなるし、絶対できるやろって信じちゃってるんですよ。いろんな人に尻拭いしてもらってますけど。だから、イヤだなって思うことは言うし、やりたいって思うことも周りに言うようにしてます。

——迷いがないんですね。その後のプロセスとして、やりたいことをちゃんと行動に移すっていう行動力があるのでは。

ゆりやん:夢叶える方法、1個だけあるんですって。それって動くことらしいですよ。やらないと始まらないから。「動いたとこで叶いません」って言ってる人は叶わないんですよ。でも、動いたら叶うって信じて動くと絶対叶うんです。

——話し方は穏やかですけど、芯の強さがあって。いろんな意味で「持ってる人」と思われているような気がします。

ゆりやん:みんな持ってるんですけどね。叶っていない人は信じてないだけだと思います。今のマネージャーが10年くらい一緒で、向こうは3年目、私は芸歴2年の頃からお互いに目標を持って頑張ってきたんですよ。2人とも信じる感覚を大事にしてきて、いけそうな時はなんかいけたし、私たちをコケにした人たちは失脚していくっていう。怖いんですけど(笑)。

——失脚(笑)。じゃあ、お二人もその人たちにすがりつくことなく離れていったんですか。

ゆりやん:トレーニングをして自分を大事にするようになったから。たとえば、めっちゃ人の悪口を言う空間があるとして、自分を大事にしてなかったら、そこに呼ばれたとき、抜ける勇気がないと思うんですよ。でも、ここイヤやなって思ったら「いたくないんで失礼します」って言える。言い方は考えないといけないですけど。トレーニングは体だけじゃなくて、スタンスも変えられるような気がします。今、のびのびしているし、居心地がいいです。

——岡部さんのトレーニングの良さや、ゆりやんさんがそれをずっと続けられている理由がすごく伝わりました。本を手に取る方の中には、今の自分を変えたい人もたくさんいると思います。岡部さんに代わって、励ましの言葉をいただけませんか?

ゆりやん:励ませるかわからないですけど…、私自身は、自分が生きやすいような道筋に導いてくれる友さんのような人に会えて、今は楽しく生きています。

 惑わされないでほしいです。生きていると、こうならないといけないとか、基準に達しないと無理だとか思わされますけど、そういうのは忘れていただいて。自分の持っているカードを最大限に使えるようにしてほしいですね。

 私も、運動しなくたってこれが自分らしさだからいいじゃないって思ってたんですよ。でも今思うと、ただ自堕落に生きて開き直っていた気がして。トレーニングをすると自分が可愛いと思えるようになると思うので、いきなりは無理だけど、ちょっとずつ。一生続けるつもりで試してみるのはどうでしょうか。せっかく今の体で生きるなら健康に。ダラダラ喋っちゃってすみません。

ゆりやんレトリィバァさん

取材・文=吉田あき、撮影=金澤正平

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