スケベな店に行こう/絶望ライン工 独身獄中記㉛
公開日:2024/11/13
日々懸命に過ごし、いつまで続くともわからぬ今の暮らしを生きる。
そんな長いトンネルのようなものを、我々は人生などと呼び勝手に畏怖と親しみを感じる。
トンネルは薄暗く、ふいに不安になる。
どこまで続くのか。先に光はあるのか。
思わず来た道で足を止め、
後ろを振り返って怒ったり、悲しんだりしてしまう。
我々は皆寂しい。もう歩くのはたくさんだ。癒しが、ぬくもりが欲しい。
いっときでいいんだ。そしたら明日からまた頑張れるから──
そこでスケベな店の出番てわけ
スケベな店、それは夢の楽園。
多くは世の男性向けに存在し、種としての本能や遺伝子の記憶を呼び覚ます魅惑の女性達と素敵な時間を過ごすことができる。
孤独な独身男性にとって、それは渇きを癒すオアシスだ。
乃瑛琉だ、李亜夢だ、鈍兎琉宮芭空院庵画阿(春画絵師 1740年~1802年没)だ。
ではスケベな店に行けばスケベな女性(ファッキン・ビッチ)に出会えるのかと問われれば、それは違う。
スケベな店にファッキン・ビッチはいない。
眼科医がレーシックをしないように。
食品工場勤務が自社製品を避けるように。
ツーブロック投資不動産営業野郎共が不動産を買わぬように。
真実は先入観で覆い隠され、我々は見たいものだけを見て、この世界を生きている。
そう考えると現世は隠し事だらけ、どこもかしこも秘匿の総合演習だ。
隠さるるなら見たくなる。
どうやら人は隠されたものに惹かれるやうだ、それはとってもスケベな本能である。
服を着て隠されたなら裸身が見たい。
誰もが見せぬ給与明細や年収を知りたい。
隣人のプライベートを覗き見たい。
いつも顔隠してる動画投稿者の素顔が見たい。
いつも顔隠してる動画投稿者に彼氏いるのかどうか知りたい。
彼氏いるならいつから付き合ってるのか知りたい。
ぼっち旅行動画絶対彼氏と行ってるだろ。とてもつらい。
自分のぼっち旅行はガチで単独行軍である。泣きたい。
隠されたものに価値を感じ、見たいと願う好奇の心をスケベと呼ぶんだな、きっと。
拙作ホームビデオにも、収益を教えろとか、本当は住んでないやろどこ住んどるか見せろ、隠れて豪遊しとるやろ、全部嘘やろ正直に言え、などなどスケベなコメントが散見される。
こやつらを眺めつつ、
「ふふ。欲しがってばかりのスケベなおぢさん達だなァ・・(ちゅき)」
などとファッキン・ビッチぶるのも楽しい。
そもそも本来隠匿せねばならぬ、恥ずかしい中年男性の映像を全世界に向け垂れ流している時点で我がホームビデオは相当にスケベであると言える。
活字にて思考と嗜好を包み隠さず隔週で発信するこの連載は言うまでもなくスケベだし、それを読んでくださる酔狂な貴殿はスケベの権化そのものです。
親愛なるドスケベの皆様、いつもありがとうございます。
あとスケベイラスト描く時の名義を芭空院庵画阿にしようかと思います。
41歳独身男性。工場勤務をしながら日々の有様を配信する。柴犬と暮らす。