男性養護教諭は全国で100人未満。「先生は男だから」の偏見に負けない、保健室の先生の奮闘を描く

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公開日:2024/11/22

保健室のせんせい。

 学生時代、誰しも接したことのある“保健室の先生”。そして保健室の先生と聞くと、女性をイメージする人が多いはずだ。それもそのはず、全国の養護教諭約4万人のうちほとんどが女性で、男性は100人に満たない。

 保健室の先生=女性の職業というイメージが大きい分、それが男性であれば児童や保護者、周りの教員でさえも不安を抱くのかもしれない。『保健室のせんせい。』(水島ライカ/KADOKAWA)では、まだまだ珍しい存在である男性養護教諭が偏見に負けずに子どもたちと向き合っていく様子を描く。

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 東海地方の小学校で働く保坂健輔(ほさか たかすけ)は、新任の保健室の先生だ。全国でも珍しい男性養護教諭ということで、変わった目で見られることも多い。健輔は“養護の現場に性別は関係ない”をモットーに、悩める子どもたちへ手を差し伸べていく。

 保健室が舞台となると、扱う問題は怪我や性教育をイメージする人も多いかもしれない。しかし本作で取り上げられるのは、児童の繊細かつ純粋な“心”に関する数々の問題だ。

 健輔は小学生時代に、養護教諭の一言に救われた経験がある。その経験を糧に、「今の自分が子どもたちの成長を支えるにはどうすべきなのか?」と知恵を振り絞る。

 マスク依存、第二次性徴への戸惑い、不登校など……思春期にさしかかり、日常でさまざまな悩みを抱える子どもたち。“心”を扱う話は重たくなりやすいが、本作は児童や教員とのにぎやかな掛け合いが多いため楽しく読み進められる。

 子どもたちのさまざまな悩みに対し、「あなたはあなたでいいんだよ」「こういうものの見方もあるんだよ」と受け止めながら柔らかく伝える健輔。子どもの心を軽くしてくれる言葉かけに、読んでいるこちらまで晴れやかな気持ちになる。

 保健室で繰り広げられる、健輔と子どもたちの成長物語にぜひパワーをもらっていただきたい。

文=ネゴト / いなり

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