トム・ブラウン布川ひろきのエッセイ連載「おもしろおかしくとんかつ駅伝」/第10回「プロレス」

文芸・カルチャー

公開日:2024/11/30

おもしろおかしくとんかつ駅伝

以前、お金を少しもらうようになる前パチスロがめちゃくちゃ好きだったけど、お金をもらえるようになってからパチスロに行くと前ほど楽しめなかったという話をしたことがあります。
あの時の寂しさは何とも言えないもので、お笑いでご飯を食べれるようになったのと引き換えに失うものもあるのだなと思いました。

もう昔好きだったものに熱くなれることはないのだなと思っていたのですが、ところがどっこい!ありました。

「プロレス」

に今とてもハマっています。
お笑いを初めてからお金がとにかくなくて、バイトをしたりライブの手伝いを四六時中やっていたのもあり、自然と見なくなってしまいましたが、ここに来てハマっています。

小学生~高校生くらいまですごく好きで
当時、今よりもガリガリで細かった僕は大きな体で素手でぶつかり合うかっこ良さに魅了され、毎週夕方16時~の新日本プロレスの番組をかぶりついて見ていました。
ちょうどその頃に柔道を初め少しずつ体も大きくなり、中学生の時には火・木の夜に柔道少年団でひたすら柔道の練習、月~土の放課後は部活で先生が来るまで先輩達とひたすらプロレスの練習をしていました。
その時にドラゴンスクリューとダイヤモンドカッターとツームストンパイルドライバーを習得しました。犬丸先輩、古山先輩、新川先輩その節はありがとうございました。

好きになったきっかけは、闘魂三銃士の武藤敬司さんを見て、なんてかっこ良くてスターすぎるんだと思いひきつけられました。なので、僕らのPodcast「トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画」で武藤さんの引退試合を見れなくて相方のみちおの脳天ぶん殴ったのは納得の行動なわけです。

さて、何で約20年の時を経てまた見るようになったかというと
お笑いコンビ・納言のみゆきがプロレスを観に行きましょうと誘ってくれて行った時に見た
「黒潮TOKYO JAPAN」
という選手に心持っていかれたからです。

プロレスの入場は花道を歩いてだいたい1、2分くらいでリングインするのが普通ですが、黒潮選手は合計6、7分かけて入場します。そんな人は見たことないです。

その6、7分の間にリングインすると見せかけてしなかったり、客席に行ってお客さんと肩を組み合って仲良く触れあったり、バスケットゴールをよじ登って2階席に行ったりします。
文字だけ見てるとわけがわからないと思いますが、なんなくのイメージで言うと
大ヒットしている極悪女王でお客さんを竹刀でぶったたいたりするダンプ松本さんの真逆みたいなことです。

選手がお客さんに攻撃したり、威嚇するのは見たことがありますが、仲良く肩組み合ってお客さんを楽しませてるのは見たことがないです。

それだけではなく試合もレスラーとしてちゃんと楽しませてくれます。
ボディスラムを食らってあんなに背中から飛べる人は見たことがないです。

色々見たことがないことだらけです。

 

あ、

今書いてて思いました。
何故僕がプロレスにハマってるのかを考えながら書いてたのですが、見たことがないプロレスをしてるからなんだ。(最低でも僕は。)

最初に書いたパチスロは過去のリメイクをやったので見たことあるものをやったのだ。その当時の楽しかった思い出をやりにいったのだ。
思い出は懐かしむ物なので楽しさを越えてくることを求めていた僕が間違っていたんだな。

もう楽しめないと思っていたあの頃の自分に10カウント。
そして、それを気づかせてくれたプロレスのおかげで聴こえた開始のゴング。

よし。

この後すぐにパチスロ「ヴァルブレイブ」やってみることにしよう。

<第11回に続く>