女40代はおそろしい…!仕事・家庭・性―40代が向き合うべき宿題とは?
公開日:2024/12/10
論語では不惑と言われる40歳。40代が一番楽しいとよく聞くが、本当だろうか。『女40代はおそろしい 夫より稼いでたら、家に居場所がなくなりました』(田房永子/幻冬舎)は、共働き夫婦が直面する行き詰まりや未来を描いた、40代のクライシス漫画だ。
フリーデザイナーの丸山ふさ子、会社員のまい、そして起業家のカオリは、大黒柱妻という共通点があり、頻繁に集まって話す仲である。夫とのバトルを経て夫婦の最適解を見つけたふさ子だったが、大口の仕事を失い収入半減の危機に陥ってしまう。一方で、まいは義母と夫が家事育児を担うことで家庭での疎外感を抱いている。カオリはカオリで、効率化の名の下、夫婦の性までも管理しようとしていたことから悪夢に苦しむことに…。それぞれが陥る40代のクライシスが、物語とコラムによってリアルに描かれている。
未来が未知すぎて恐怖でいっぱいの20代をやり過ごし、無我夢中で走り抜けた30代を経ての40代。先がわかるようになった分、一歩踏み出すのが億劫になる。億劫だから、近場に救いを求め、心のこもっていない選択をしてしまい、余計にむなしくなる。やたらリアルな責任を背負い、だんだんと視界に入ってくる老後や健康のこと。40代はおそろしい…!
40代特有の心理状態を巧みに表現したタイトルに、思わず唸ってしまう。また40代女性の性や夫婦生活など、繊細なテーマに真正面から向き合いつつ下品さを感じさせない描写で安心して読むことができる。
仕事、家庭、そして性のこと「苦手だから避けていたこと」が一気に押し寄せる40代を、彼女たちはそれぞれの方法で乗り越えようとする。その姿は、読者に「大丈夫という確証はないけど、きっと大丈夫」という希望を与えてくれる。
おそろしい40代ではあるが、著者は心身を潤してくれる変わらないものがあることを描いている。そして、40代が陥りやすい行動をいかに解いていくかのヒントも鏤められている。特に子育てをしながら働く40代女性にとって、自身の人生と向き合うきっかけとなる必読の一冊である。
文=ネゴト / Ato Hiromi