暗殺者のスキルそのまま赤ちゃんに転生!滅びる運命の王国を救え 『伝説の暗殺者、転生したら王家の愛され末娘になってしまいまして。』
PR 公開日:2024/11/24
今年5月に創刊された集英社の縦スクロールマンガアプリ「ジャンプTOON」。その人気作品ランキングの上位に常にランクインし、異彩を放っているのが『伝説の暗殺者、転生したら王家の愛され末娘になってしまいまして。』(白井ごはん:原作、Trys:スタジオ)だ。少年マンガの代名詞といっても過言ではない「ジャンプ」、その名を冠するアプリの連載作ながら、本作はこれまで「女性向け作品」として扱われることの多かったモチーフ、テーマを描いているのが特徴だ。
少女の身でありながら大勢の人間を屠(ほふ)り、どんなターゲットでも無表情で殺す伝説の暗殺者・トート。幼い頃から孤独に生きてきたため、家族の愛情を知らない。暗殺者として恐れられる彼女だが、気まぐれで猫を助けようとして命を落としてしまう。その行動から地獄行きを免れ、神様にとある国の姫に転生させられてしまう。
トートが転生したのはシャイネン国の姫・パトリシア。まだ1歳の赤ちゃんだ。ここはトートが生まれるより200年以上も前の時代。神様いわく、シャイネン国の者は警戒心や猜疑心が薄かったため次々と暗殺され、王家の末娘・パトリシアの12歳の誕生日に国ごと消え去ってしまったという。
だが神様は「ちょっと運命を変える必要が出てきた」と、赤ちゃんに転生したパトリシアに、シャイネン国と王家の運命を変えるよう命じる。
パトリシアは年の離れた長兄・レオンハルトと次兄・ギルベルト、父である国王・ローレンツ、そして母の王妃・ユリアに溺愛されるこれまでとは正反対の生活。弱肉強食の世界で人殺しだった彼女が、今度は人を守ることになってしまったのだ。
王城にはひっきりなしに暗殺者がやって来る。赤ちゃんのパトリシアはどうやって彼らを撃退するのか? 侮ることなかれ、前世の記憶と人殺しスキルもそのままなので瞬殺だ。
「愛無き者よ 愛を知り愛を守れ」。愛情を知らないからっぽの器だったトートがパトリシアとなり、神様の狙い通り愛情をなみなみと注がれていくさまは、これだけにとどまらない。
7歳になる頃には、パトリシアを狙ってやって来た暗殺者のデボラを叩きのめし侍女にしている。デボラはすっかりパトリシアに心酔しきっている様子だ。また、お忍びで出かけた街で奴隷商から虐げられていた獣人の少年を買う大胆さも。かつての「トート」と呼ばれていた頃の自分に重ね「トト」と名を与え、傷だらけだった彼を癒し、圧倒的強さを示すことで忠誠心の高い従者に仕立て、行動を共にするようになる。この頃には暗殺者の経験だけでなく、王族としての風格を身につけ他者を従えているのだ。
パトリシアの“愛され包囲網”はまだまだ範囲を広げる。隣国の王子で婚約者のユリウスは、可憐なだけでなく知力と胆力を持ち、自分と対等に渡り合えるパトリシアこそ妻にふさわしいと考える。
愛は注がれるだけのものではなく、誰かに注ぐものでもある。たっぷりの愛情を受けているパトリシアだが、まだ愛については理解していない。彼女の中に愛は芽生えるのか? 彼女が本当の意味で愛を知った時にどんなことが起きるのだろうか。
滅びのさだめであるパトリシアの12歳の誕生日は刻々と近づいている。伝説の暗殺者が切り開く愛と運命をぜひ見届けてほしい。
文=川俣綾加