この恋はデスゲーム!24時間以内にキスしないと死ぬ異色のハーレムもの『きみのためのエデン』
PR 公開日:2024/11/25
主人公に好意を持つ複数のヒロインが登場する、いわゆる「ハーレムもの」はラブコメの定番のひとつ。その結末において晴れて主人公と結ばれる「正ヒロイン」の陰には、必ず何人もの「負けヒロイン」が存在する。もし負けヒロインが爆死するルールがあったなら……ラブコメはたちまち過酷なデスゲームと化すだろう。
「ジャンプTOON」で連載中の『きみのためのエデン』(斜線堂有紀:原作、Whomor:制作/集英社)は、そんなキケンな“もし”を具現化してしまった縦スクロールマンガだ。
主人公の箱崎有生(はこざき・ゆう)は、幼い頃に誘拐され6人の少女と1年間軟禁された過去を持つ。事件から12年後のある日、有生は見知らぬ娘から強引にキスを迫られるが、拒んでいるうちに娘の頭が爆発し凄惨な最期を遂げてしまう。遺品からその娘が6人の少女のひとりだと知った有生は困惑する。
衝撃的な幕開けの直後から、次々とタイプの異なる魅力的なヒロインが登場して有生にキスを迫ってくる。ツンデレ金髪女子、勝気なポニーテール、世話好きドジっ子、寡黙なショート女子、そして押しの強い不思議系……普通のラブコメなら盤石の布陣だが、その全員が12年前の誘拐事件の被害者だ。
しかも彼女たちの頭には時限爆弾がセットされていて、有生とキスすることで爆発を24時間延期することができるという。かくして24時間おきにキスをするため、有生と5人の共同生活が始まるが、ヒロインのひとりがロッカーに閉じ込められキスを阻止されそうになる事件が勃発。犯人捜しが始まり、物語は急速にミステリの様相を帯び始める。
さらに謎を深めるのが、有生が12年前に6人の少女の誰かから受け取り大事に保管していた「鍵」の存在だ。その鍵には「運命の女の子を解錠せよ」という隠しメッセージが添えられていた。「鍵」は爆弾の解除装置なのか? 6人のうち誰が「運命の女の子」なのか? おぼろげな記憶の中で「私を選んでね」という少女の言葉は、呪いのように有生を縛りつける。
鍵の使い道に悩む主人公を尻目に、ヒロインたちは有生をめぐり様々な駆け引きを始める。ラブコメ的な甘いシチュエーションの一つ一つが新たな謎と疑心暗鬼を呼び、恋のさや当てと生存をかけたバトルロイヤルの境界線は曖昧になっていく。
有生とヒロインたちは爆弾の謎を解くため12年前の誘拐事件の真実に立ち向かうことを決意するが、その先に待ち受けるのはラブコメかデスゲームか。どちらに転んでもヒリヒリすること間違いなしの展開が、スクロールする手を止めさせないはずだ。
文=平岩真輔