「その彼女サゲ発言どういう意図でやってるんですか」“言いたくても言えないモヤモヤ”を一刀両断! 毒舌男子は、実は心優しいヒーローだった
PR 更新日:2024/11/28
皮肉で辛辣、ズバッとした物言いで本音を言ってしまう「毒舌キャラ」な人。人の痛い所をついたり、思いやりのない発言で嫌われることも多いが、時には「みんなが言いたくても言えなかったことを代弁してくれてスカッとした!」と、その発言で大勢の気持ちをスッキリさせてくれることも。
『スカッと!芹沢くん』(文京子/DPNブックス)はそんな毒舌家・芹沢くんと、彼の先輩である彩や、ふたりと同じ部署の職場の面々を取り巻く物語だ。
主人公の桜井彩は、過去の彼氏にフラれたトラウマから、今ではすっかり空気を読むことに長けた女性に。いわゆる“お人好し”なタイプであることから、同じ職場の同僚から面倒な仕事を押し付けられそうになったり、3年ほど付き合っている彼氏からはモラハラのような扱いを受ける時も。
そんな彩の様子を見ていて、時々「彩が言いたくても言えないこと」を毒舌として吐いてくれるのが、彼女の後輩・芹沢旬である。
取り繕うことなくズバリといろんな人が言えないことを代弁してくれる彼に、最初こそ厄介者かと警戒していた彩や会社のメンバーだが、さまざまなシーンで理不尽な目にあう人への助け舟となる芹沢の発言を、次第に頼もしく思うように。その中で、彩と芹沢の関係にも徐々に変化が――。
本作の見どころのひとつは、やはり芹沢の冴えわたる毒舌!
人を故意に傷つけるものではないことに加え、場の空気を読んだり協調性を大事にした結果「言いたくても言えなかった」ことを、臆することなく意見する芹沢。だからこそ彼の毒舌は不快にならず、むしろモヤモヤをスッキリさせてくれるのだ。
また芹沢が密かに想いを寄せ気にかけている彩のことのみならず、「おかしい」と思ったことにはその場ですぐ、誰が相手でどんな状況だろうと物怖じせず声をあげる。そんな芹沢の平等な精神、そして芯の強さもまた、彼の毒舌を周囲が受け入れている理由のひとつなのかもしれない。
重ねて、芹沢自身は自分のそんな性格をひけらかしたり誇示したりすることなく、極めて冷静に見ている点もポイントだ。おかしいと思ったことに声をあげることを、悪いことだとは思わないが、それを周囲に強要することはなく、むしろ自分と正反対の彩のような人に対しても、「救われている人もいる」と一定の敬意を払っている。そのような一面も、彼の人格の良さを物語っているのだろう。
またそんな芹沢と彩を取り巻く恋愛模様も、もちろん本作の大きな見どころ。モラハラ気質のある同僚・優斗と無事別れた彩が、ようやく芹沢をストレートに恋愛対象として見始める…かと思いきや、悪い縁を切った彼女にはその分良縁が舞い込んでくることに…?
新たに出会った魅力的な男性・加藤と、これまでさまざまな面で助けてくれた後輩・芹沢。はたして彩が選ぶのは、一体どちらなのか…!? そんなラブコメ展開が気になる点も、思わず作品の続きを追いたくなってしまう理由のひとつだろう。
職場で、学校で、家庭で、友達や恋人との間で、言いたくても言えないことが募る毎日にモヤモヤしている……。そんな人にはぜひ一度読んで欲しい本作。的確で痛烈な芹沢の毒舌に、あなたのモヤモヤもスッキリすること間違いなし!