「優しい気遣いさん、もう自分のために生きていいよ」心理カウンセラーYouTuberが教える“図太いメンタル”になる方法
公開日:2024/11/30
自分の気持ちをグっと抑え、相手を尊重することは美徳と捉えられやすい。だが、言いたいことや込み上げてきた感情を抑える分だけ、自分が削られていく気がするのはなぜだろう。
『もう誰かのためにガマンしなくていい 自分らしさを取り戻す図太いメンタルになる方法』(るろうに/主婦の友社)は、他人の気持ちや都合を優先して我慢ばかりしている気遣いさんにこそ届いてほしい1冊だ。
著者はYouTubeチャンネル「心理カウンセラー るろうに」でためになるメンタル系の情報を発信する公認心理師・臨床心理士だ。本書では心理学的な視点を交えながら、自分らしさを取り戻して“図太いメンタル”になるためのヒントを5ステップで解説している。
「図太い」と聞くと、ネガティブなイメージを抱くかもしれない。だが、著者が提案しているのは「自分勝手」や「無神経」といった図太さではなく、他者や周りの環境からネガティブな影響を受けても平然としていられる力のことだ。
図太いメンタルを身に付けることで、本来の自分を取り戻そう。周囲との調和は大切にしつつも、自分を後回しにする人生から脱却しようと著者は呼びかける。
著者いわく、メンタルを図太くするには思考と行動を変える必要があるという。その際、注目したいのが「しなやかさ・おおらかさ・潔さ・したたかさ・たくましさ」という5つの力だ。これらの力を身に付けることで、他人軸になっている思考や行動が変わるという。
本書では、あるあるなシチュエーションを交えつつ、5つの力の身に付け方を具体的に解説。例えば、「おおらかさ」を身に付けるにはデリカシーに欠ける言葉を言われた時の思考と行動を変えることも重要だ。
根が真面目な人ほど、見た目の変化など触れてほしくないことを話題に出されると、自分に非があるように思えてしまうもの。だが、本当の問題は自分の変化ではなく、相手が人として失礼な行為をしているところにある。
だからこそ、デリカシーのないことを言われた時には100%口に出す側の問題と捉え、「残念な人なんだ、じゃあ仕方ない」と距離を取るのがベストと、著者はアドバイス。自分を責めず傷つけず、思考と行動を変えていこうと訴えかける。
なお、身近な人から言われた嫌な言葉が頭から離れない場合は著者が紹介する「潔さ」の身に付け方を参考にして、受け止め方を変えてみよう。
他人から言われた嫌な言葉は人生のレールを作っていく中で心を縛ることもあるものだが、著者いわく、それらの言葉はあくまでも“その人のモノサシ”に過ぎないそう。絶対的に正しかったり相手が真剣に考えてくれたりしたものであるとは限らないため、嫌な言葉は一度無視し、自分が本当にやりたいことをして今を楽しもうとアドバイスする。
もし、嫌なことを言ってきた相手が心に浮かんだら「あなたの言葉どおりに生きなくても、私は自分らしい生き方で幸せになれてますよ」と、自分に言い聞かせるのもおすすめだ。
平穏な暮らしを守るため、自分の願望は押し殺せばいい。そう思ってきた人にこそ、著者がすすめる、“自分が心地よい生き方”は響くことだろう。
他にも著者は、すぐにキレる人への具体的な対処法や「他人をがっかりさせることに慣れよう」というユニークなしたたかさの身に付け方、たくましさを養うことに繋がる“心の境界線の引き方”なども解説。どうしても許せない人との向き合い方も知れるので、職場の理不尽な上司や親との複雑な関係に悩んでいる方にも手に取ってほしい。
なお、本書には周囲との摩擦を避けてきた人を労わる言葉が随所に綴られており、気遣いさんは自分のこれまでを受け止めてもらえたような気持ちになる。
たとえあなたから何かの大きな役割がなくなったとしても、あなたには生きているだけで十分に価値があるんです。
著者の優しい言葉は、新しい視点から“自分の価値”について考えるきっかけも授けてくれることだろう。
人はいつからでも変われるし、自分らしい人生を取り戻すことだってできる。そう強く訴えかける本書が、ひとりでも多くの気遣いさんに届いてほしい。
文=古川諭香