「アメリカについては、毎日ニュースや新聞などで見聞きしているから何となくは分かる」という人は多いだろう。かくいう私もその一人だったが、この本を読んでみて、自分がいかにアメリカという国について分かったつもりになっていたかということに気づかされた。

　たとえば、アメリカといえば、「世界のリーダー」というイメージが強いだろう。しかし、本書によれば「リーダーキャラ」になったのは、アメリカの約250年の歴史から見ると最近のことだという。世界各国に起きた紛争に介入したり、介入はせずとも積極的に支援を行ったりするようになったのは、第二次世界大戦後のことで、アメリカの約250年の歴史でここ80年ほどのことらしい。それまでは、アメリカの外交政策は、「孤立主義」が基本。これは、第5代大統領のモンローが示したもので、「アメリカはヨーロッパへ干渉せず、同時に、アメリカ大陸全域にヨーロッパが干渉することに反対する」というものだ。第二次世界大戦の前にも、外交政策や第一次世界大戦などでヨーロッパと関わることはあったが、基本的には「孤立主義」がアメリカであり、現在のアメリカとは大きく異なるのだ。

　本書では、そんなアメリカに関する基礎知識について分かりやすく解説されている。どうして分かりやすいかといえば、イラストをメインに、直感的に概要を理解しやすいように構成されているためだろう。

　アメリカの変化について触れられたページでは、諸外国が、今のアメリカの姿を「なんか感じ変わったな」と眺めているイラストが描かれていて印象に残るし、アメリカの歴史について触れられたページでは、13の植民地（現在の州）がまとまってできて国となったアメリカを、諸外国が「無理やりまとまってるな…」とつぶやくのも、アメリカという国を端的に表している。イラストと見出しを眺めているだけでも概要がすぐに把握できるから、忙しいビジネスマンに最適。もちろん、文章も読みやすく、しっかり読めば、より詳しく知識を習得できる。

「なるほど、『アメリカ第一でいい』『孤立主義に戻ろう』というのが、トランプ率いる共和党なのか」「建国に宗教が関わったから、アメリカを語る上で宗教は欠かせないし、キリスト教宗教右派の存在が選挙にも影響するのだな」「日本とは違って選挙人がいるから、よく分からなかったけど、大統領選ってこんな仕組みだったのか」……。この本に掲載されているのは、初めて知る知識もあるが、学校の授業で習ったことのあるような知識も多い。だが、こうやって、一度にアメリカという国について学び直すと、知識がようやく身についた気がする。アメリカのこれまでの歴史を今につながるものとして理解できたのは初めてのことだった。

　さらに、本書では、購入者限定で、2024年のアメリカ大統領選挙後、世界がどうなっていくのか、日本にどんな影響があるのかを考察した特別PDFが無料でついてくるから、ビジネスマンは必読だ。今までのアメリカについての知識を習得した上で読めば、より理解が深まるに違いないだろう。

「忙しくて勉強する暇がない」という人もこの本ならば、スキマ時間で手軽に知識を身につけられる。あなたも、この本で、アメリカについての知識を整理して、これからの日本の未来、世界の未来について考えてみてはいかが？

文＝アサトーミナミ

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