マスコミは本当に腐っているのか? 腐敗した業界をぶち壊し、再生させようとする記者を描く『マスゴミ未満』スペシャル鼎談
更新日:2024/11/28
「俺を世に出してくれ」という叫びが聞こえた
――松浦さんが作画を担当することになった経緯も教えてください。
松浦ショウゴさん(以下、松浦):ぼくはもともと、白泉社の新人賞に応募していて、担当さんと一緒に連載デビューを目指しているところでした。そんななかで本作の作画のお話をいただいて、ネームを読ませていただいたんです。そうしたら非常に面白かったですし、ぼくは犯罪モノやサスペンスが好きで描いていたこともあって、ぜひやってみたいな、と。
みずほ:作画を決めるとき、実は候補者が7~8名くらいいたんです。ただ、松浦さんの絵を見せてもらったとき、「俺を世に出してくれ!」って叫んでいるように感じたんですよ。それで、「この人でいこう!」と即決しました。もしも松浦さんに断られたら、一から考え直すつもりで。
川田:担当編集者としては、そもそもが難しい題材の作品だということは理解していたので、若いエネルギーを持つ方に作画を担当してもらいたいと考えていました。松浦さんは背景の描き込みも緻密だし、それだけで熱量を感じさせる。だから、みずほさんが松浦さんの絵を気に入ったとき、ぼくも同意見でしたね。
松浦:本当にありがたかったです。
――マスコミの腐敗を許さず、信念を貫こうとする雄一のキャラクター造形はどのように固めていったんですか?
みずほ:主人公ってよく「作者自身が乗り移っている」なんて言われたりもするじゃないですか。でも、今回はそんなことなくて。ぼくはもう読者目線になりながら、川田さんから聞いたさまざまなことを雄一に落とし込んでいっている感じです。元報道記者ということで、川田さんを少しイメージしているところもあるかもしれません。
ただ、完全に雄一とぼくとで重なる部分がないかというとそうでもなくて、情熱を持っているところは似ているようにも思います。ぼく、どの担当さんからも「きみの武器は熱量だから」って言われるんですよ。だから、がむしゃらな雄一には通ずる部分もありますね。
松浦:ビジュアルに関しては、ネームを読ませていただいてから何パターンか出してみたんです。そのなかからみずほさんに選んでもらったんですが、たしかにちょっと川田さんに似ているかもしれませんね。いま、合点がいきました(笑)。
みずほ:雄一は主人公ということもあって、苦労しましたよね? でも、相棒のゆかりはビジュアルがすんなり決まりました。
松浦:意識していたのは、主人公の添え物みたいなヒロインにはしたくない、ということでした。雄一と対等な「バディ」としてのエネルギー感がある女性にしたかったんです。
みずほ:それが伝わってきて、一発で決まりました。中身としては、雄一のストッパーになってくれるような子にしたいな、と。それでいて、雄一の味方がひとりもいなくなったとしても、最後まで信じていてくれるような。だから、性格は明るくてややボーイッシュな感じ。強いていうならば、『リーガル・ハイ』に出ていたガッキー(新垣結衣)みたいなイメージですね。