ガールズラブの名手・秋山はるの新作『私のブルーガーネット』コミックス1巻発売! 今作のテーマは“大人百合”

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公開日:2024/12/5

私のブルーガーネット"
私のブルーガーネット』(秋山はる/白泉社)

“普通”とは、ごくありふれたものであることを指す言葉。人間社会ではその状態であることを求められる場面が多く、ゆえに苦悩する人も少なくない。そんな“普通”と向き合い、憧れた女性の恋愛模様を描いたのが、2024年12月5日にコミックス1巻が発売された『私のブルーガーネット』(白泉社)だ。

 作者の秋山はる氏は、2005年の『すずめすずなり』で連載デビュー。格安のアパート「コーポ白百合」に集まった個性豊かな住人たちが繰り広げる心あたたかなドラマは、多くの読者の胸を打った。

 そして2008年には、代表作の一つとなる『オクターヴ』を連載。“売れなかったアイドル”宮下雪乃と、元ミュージシャンの“売れない作曲家”岩井節子が繰り広げるガールズラブ作品で、女性作家ならではの視点から紡がれる細やかな性の描写が大きな話題を呼んだ。

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 その後も二人の花嫁による禁忌の恋を描いた『イベリスの花嫁』など、いわゆる“百合”や女性同士の友情を描き続けている秋山氏。そんな彼女が2023年より『メロディ』で連載をスタートさせたのが、“大人百合”をテーマとした『私のブルーガーネット』である。

 同作の主人公・紺はブラック企業を辞め、絶賛就職活動中の身。幼少期の頃から周りの子と同じことができなかった彼女は“普通”の生活に憧れ、そうなろうと努めてきた。しかし努力も虚しく、就職活動では失敗ばかり……。

 そんなある日、紺は面接に落ちた帰り道で藍という女性に声をかけられる。藍は恋人の「楓」を探していたのだが、人違いだった。だが、この出会いをきっかけに、普通にとらわれていた紺の人生が大きく動き出していく――。

 藍は同性愛者で、かつ少し変わった性格の持ち主。普通に憧れる紺とは正反対な印象だが、ゆえに惹かれる部分があったのかもしれない。やがて藍に恋心を芽生えさせていく紺だが、ここで気になるのは楓の存在。なぜ藍は恋人である楓の行方を追っているのか、きっと物語の大きな鍵を握っているに違いない。

 ちなみにタイトルにもなっている宝石のガーネットは、「真実」や「友愛」、「貞操」や「忠実」といった石言葉を持つ。また「一途な愛」や「実り」の象徴とされるようで、同作のポイントとなっている印象だ。

 本作の秋山氏は、どんな“百合”を描いていくのだろうか……。

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