天羽希純のエッセイ連載「アイドル界のモンスター」/第1回「露出は武器だ!」

小説・エッセイ

公開日:2024/12/5

なぜ陰キャの私がアイドルを目指したのか

ここからは私がなぜアイドルになったのか、生い立ちを少し書いてみたいと思います。私は学生時代にかなりコンプレックスがある人間で、クラスでは目立たない学生でした。

1番後ろの席で恥ずかしくて「先生トイレ行きたいです」が言えずお漏らししてしまったり、話す友達がいないけどそう思われるのが嫌でずっとシャーペンの芯を交換して忙しいふりをしたり、次の教科の教科書が見つからずずっと探してるふりをしたりしていました。

放課後、用事があって廊下に立って待っているだけで通りがかった男子に「あいつってこわいよな」ってコソコソ話されたりということもありました。そんな地味な学生生活でした。

ではなぜそんな性格とは真逆の目立つ存在のアイドルになったのか。

元々私はアイドルが大好きでずっと憧れの存在でした。
将来の夢ときかれたら表では「ピアノの先生」などと言っていましたが本当は目立つことに憧れていて夢は「芸能人・アイドル」でした。

そんなある日、メディアで見た乃木坂46にハマります。ライブなどは恥ずかしくて行けなかったのですが、写真を見漁ったりブログを読んだり曲を聴いたりずっと考えている、そんな存在に出会えました。
そこでSNSに流れてきた乃木坂46の2期生オーディションをみつけます。
自分なんか受かるはずないと思いながらも、密かな夢を叶えたいという思いで家族にも内緒で書類を送りました。

そしたら書類審査合格の通知。家族の誰よりも早く郵便を毎日見ていました。
こんな私が1次審査に受かった!という嬉しさが自分の自信を少し上げてくれました。

2次審査では初めての対面でのオーディションなので心臓はバクバクでした…。

当日は占い師に言われたラッキーオーラの色の青のニットに全てを賭けて行きました(笑)。
会場に着くと見たことないようなキラキラした可愛いスタイルのいい子ばかりですごく驚いたし自信も一気に喪失しました。

面接では何を言ったのか、したのかも緊張で覚えてないです…。
けれど帰り際に乃木坂46のメンバーが横を通り過ぎていき、その中に推しメンの伊藤万理華ちゃんもいて、そこで会えただけでこのオーディションに参加した意味があったなと後悔はないというおもいで帰路につきました。

そして数日後、なんと2次審査も合格とのお知らせ。信じられないくらい嬉しくて泣いてしまいました。自分の何がよかったと評価されたのかもわからないまま、そのまま何と最終までいかせて頂きました。
全て青い服で行ったのだけは覚えています(笑)。

2期生のオーディションは結果は不合格でしたが、理由は分からないけれどこんな私がここまで評価していただけてとても嬉しかったし生きていてよかったな、と思いました。
最後、不合格のメンバー達にスタッフさんから「ここまで来れたということはあなたには凄い何かしらの才能があるということ。どこへでも胸張っていって大丈夫だと思うのでこれからも夢を諦めず頑張ってください。」と言われました。

この言葉が私の背中を押し、アイドルになることを決心しました。

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天羽希純(あまうきすみ)
8月12日生まれ。東京都出身。
アイドルグループ #2i2の紫担当。
特技はピアノ、トロンボーン、大きな拍手、くねくねボイス。