鳥居はなぜ朱色? 意外と知らない神社の基礎知識
更新日:2017/11/16
人形供養や初詣など、年末年始はなにかと神社を訪れる機会が多い。読者のみなさんのお近くにも、大小様々な神社があるのではないだろうか。日本人にとっては身近な存在ともいえる。しかし、じつは、なじみある場所にもかかわらず神社にまつわる知識を学べる機会は意外と少ない。
そこで、年越しを目の前に控えたこの時期、神社にまつわる基礎知識を伝えてくれる『入門 神様と神社』(洋泉社)から、気になる疑問をピックアップして紹介していこう。
神社の鳥居はなぜ“朱色”なのか?
地図記号にもなっている鳥居は神社のシンボルでもある。ふと考えると、その色はほとんどが赤。正確にいえば朱色だ。同書によれば、その理由は「呪術的な意味合い」からきたもの。鳥居に使われる朱は、燃える火や沈む太陽、血の色を表している。古くから魔除けに使われた色で、じつは、鳥居そのものは私たちが神様へ拝む社殿よりも古くからあるという。
神社の成り立ちをたどると、元々は、山や海そのものやそこにある岩が神のよりどころとされていた。鳥居だけが建つ場所があるのもその理由で、やがて、社殿などを構えるようになっていったという。また、名前にある「鳥」は神の使いや神そのものとして考えられていたようで、言い伝えられる中では、神様に近い存在とされる昔話の浦島太郎が、鶴に変身して霊界へ帰っていったという逸話も残されているという。
狛犬や狐に蛇。神社に動物たちがいるのはなぜ?
稲荷と名の付く神社には狐の像が飾られていたり、天神様のまつられる場所には牛がいたりと、神社には動物たちの像が据えられる場合が多い。じつは、これにも理由があり、同書によれば様々な動物たちは「神の使い」であるという。
思いつくかぎりでもっとも身近なのは、狛犬だろう。参道や社殿の両脇から私たちを見守ってくれる狛犬は、元々は、紀元前3200年頃からおよそ3000年間、西南アジアやエジプトを中心に栄えた古代オリエント文明の門番とされていた獅子が発祥とされている。やがて、中国を経て日本へと入るにつれてその姿は変化し、現在は、むかって右側が口を開けたもの、左側が頭上に角を持ち口を閉じているという「阿吽(あうん)」の形になっているのが主流だ。
また、神の使いには十二支の動物たちがすべてそろっているそうだが、なかでも、蛇は古くから神に仕えるものとして崇められていたという。七福神の1柱であり芸能上達の神ともいわれる弁財天の化身でもあるため、弁天社を有する神社には、とぐろを巻いた「狛蛇」が置かれていることもある。
お参りの正しい作法ってあるの?
神のまつられる神社は読んで字のごとく、神聖な場所である。二礼二拍手一礼とはよくいわれるが、立ち入る時から参拝を終えて帰るまでの間には、一連の作法があるという。
まず、初めに鳥居の前で軽く一礼。参道は中央が「正中」と呼ばれる神の通り道となるため、できれば左右どちらかに少しでも寄って歩くのがよいそうだ。やってはいけないのは、参道を横切ること。失礼にあたるため、やむをえず横切る場合は、拝殿にむかって一礼するのが礼儀となる。
参拝前には心身を清めるために、拝殿の付近にある手洗い場(手水舎)で左手・右手の順番に洗い、左手に水を受けて口をすすいだ後、もう一度、左手をひしゃくの柄を洗い流す。そして、拝殿に近づいたら一礼をしてから鈴を鳴らし、お賽銭を納める。
続いて、深いおじぎと拍手を2回ずつ行うが、この時、神道で人間の身体を表す右手を、神霊を司るという左手よりも少し下げる。そして、手を合わせたまま願いを込めた後はもう一度、深く一礼をして拝殿へ背を向けないように引き下がり、立ち去る時も、鳥居へ軽く一礼してから神社を出る。
なにげなく立ち寄る場所でも、意味を知るといつもとは違った景色が広がる感覚もある。年末年始のこの時期、自分の訪れる神社の由来などに興味を持ってみれば、また一つ、楽しみが増えるかもしれない。
文=カネコシュウヘイ