本好きなら共感……できないかも!? 本が好きすぎる読書ガール、驚きの日常
更新日:2016/3/14
少しでも時間があれば本を読みたいので、出かける際は必ずカバンに本をいれないと落ち着かない。電車の中で本を読んでいたら夢中になってしまい、うっかり声を出して笑ってしまった挙句、降りたい駅を通過してしまった。新刊を買ったら家に到着するまで我慢できず、歩きながら読み始めたら電柱に激突した。誤って同じ本を二度、三度と買ってしまう……。
本好きの皆様は、上記のようなことを経験したことはないだろうか?
「読書が趣味」。もはやその次元を超えて「読書は生きがい!NO BOOK NO LIFE!」レベルの本好きたちは、本を愛するあまり、時に驚くべき行動をしでかすことがある。しかし、どんな世界にも上には上がいるもので……。
なるあすく作のマンガ『本が好き子さん』(太田出版)に登場する、本好きの可愛い女子、その名も「本が好き子」さんの本に対する敬愛ぶりは、次元が違っていた。
本が好き子さんは、いつでもどこでもついつい本を読んでしまう女子高生だ。晴れの日も、風の日も、雪の日も、そして突然の雨の日も、雨粒をかわす術を身につけている彼女は、歩きながら平然と本を読む。堀の上を歩きながらお使いへ向かうし、炎天下の日は、可愛いビキニを着て、プールに入りながら立ち泳ぎで本を読む。うっかりワニ園の柵の中で本を読んでいて注意されたこともある。
好き子さんは本の内容はもちろんのこと、書かれた文字の書体、本の形、匂い、紙の厚さ、手触り、重みなども愛している。時には全裸になって、身体の上に直接本をばら撒き、肌 から本を感じることもあるほど、本が好きな女子なのだ……!
「本好き」になったきっかけは、好き子さんの父親にあるらしい。実は好き子さん一家は、父は大の音楽好きで世界的ミュージシャン、母親はドラマ好き、兄は映画好きで常にポータブルプレーヤーを片手に歩いている……というオタク気質の面々が揃っている。
幼い頃、本ばかり読んでいて「気持ち悪い」と言われたことがある好き子さん。しかしその時父に「好き子お前はそのままでいい」「好きな本を好きなだけ読め」と言われ、好き子さんは大いに救われた。自分も父のように好きなことでもっと充実した日々を送りたい…! 心からそう願っている好き子さんは、今日もまた大切な本を片手に持ったまま、バイト先の本屋で仕事をこなし、空の上でも本を読むのだ。
……いくらバイト先が本屋でも、仕事中に本など読めるわけない! ましてや空の上で読書など絶対無理!と思われた皆さん、申し訳ないがその考えは甘い。
極度の人見知りのため、話しかけられそうになったらそれとなく本を読みながら移動し たり、書物のギッシリ詰まった本棚を軽々片手で持ち上げられたりする好き子さんの一種過激な読書ライフに、恐らく「不可能」という文字はない。
「本好きあるある」だと思って読み始めると、予想外に火傷をしてしまう一冊だ。しかし、好き子さんの本好きゆえの、熱い想いとぶっ飛んだ行動に、本好きの読者たちは思わずにんまりしてしまう、なんとも不思議な魅力を持ったマンガである。
文=さゆ