目玉焼きには塩+レモン? 斬新!? 朝ごはんカタログ

食・料理

更新日:2016/3/14


一日がしあわせになる朝ごはん(小田真規子:料理、小野正人:文/文響社)

 「朝ごはんのおかずはこうでなければ」「パンにのせるのはこれが当たり前」などという決まりごとは誰が決めたのだろうか? 決まりが多いと、朝の食事内容がマンネリ化する。朝はただでさえ起きるのがつらいのだから、何か「ちゃんと起きたらこんないいことがあるよ!」的な楽しいイベントがないとつまらない。そこで、夜寝る前に読んだら、遠足前日の子どもみたいにワクワクしてしまいそうな朝食カタログ『一日がしあわせになる朝ごはん』(小田真規子:料理、小野正人:文/文響社)をご紹介する。

今までの朝ごはんは全て忘れろ!

 「朝ごはんなんだからこんなものは食べちゃダメ!」とか「こんなのを食べては栄養バランスがイマイチ」とかそういうことを考えるから朝ごはんは楽しくなくなってしまう。ごはんにはこれ、パンにはこれ、味噌汁の具はこれで…などと、きっちりやりすぎるからワクワク感が無くなってしまうのだ。細かいことを言い過ぎると、作るのも片づけるのも面倒くさくなって続かない。その点、この本は超自由形。何でもありだから、一旦これまでの朝ごはんの概念は忘れて、「へぇ? こんなのもありなんだ!」と目で楽しもう。

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白ごはんはのせて!握って!泳がせて!

 白ごはんを炊いておけば、それに合わせるごはんの友を変えるだけで毎日違った味を楽しむことができる。でも、それだけではイマイチ気分が盛り上がらない。この本の中には、白ごはんの食べ方だけでも、たった3分で作れる小どんぶりや、数種類の具をのせたお茶漬け、ラップの上に海苔をのせてごはんと具を巻くだけの巻きおにぎり、疲れた胃に優しいおかゆ、とさまざまな食べ方が紹介されている。簡単に作れそうなものばかりだから、明日はこれを試してみようかな? という気にもなってくる。見た目をちょっと豪華にするだけで、朝の目覚めもよくなりそうだ。

パンの可能性は無限大!

 パンはそれ自体いろいろな種類があるから、毎日違う種類のパンを買ってくれば味も見た目も変わるでしょ? と言うかもしれない。確かにそれも一理あるが、トースト用食パンを買い置きしておくだけでも、何をのせて焼くかによって毎日違った食感と味を楽しめる。

 例えば、紅ショウガ+青のり+チーズをのせて焼いた次の日はマシュマロと板チョコでお菓子感覚に。そしてまた次の日は梅干し+マヨネーズ+海苔+削り節で和風に…なんていうのはどうだろうか? のせずに焼いた後、アイスクリームをのせ、インスタントコーヒーを振りかけるなんていうのもおいしそうだ。この本にはトーストの39変化が紹介されているが、一度変身させたら、次はどんなふうに変身させるか、自分なりに新たなメニューを考えてみるのも楽しそうだ。

味の革命を起こしてみよう!

 「目玉焼きには塩」「納豆にはからしとたれ」なんて保守的なことばかり言っていないで、革命を起こしてみると、意外なおいしさに出会えるかもしれない。目玉焼きには塩派、しょうゆ派、ソース派がいるようだが、この本では、マヨネーズ+しょうゆ、ポン酢+ラー油、塩+レモンなんて味が紹介されている。また、納豆も、クリームチーズ+削り節+しょうゆや、オニオンスライス+ツナ+しょうゆ、きざみネギ+マヨネーズ+柚子こしょうなどと一緒に和えてみると、立派なごはんの友になってくれるようだ。

ごはんやパンを食べなくたっていいじゃない!

 朝ごはんだからごはんやパン、シリアルなど主食が無ければという考えもこの際忘れてしまおう。お腹に何か入れて、体温を上げて身体を目覚めさせるため、午前中のエネルギーを蓄えるためと考えれば何でもできる。例えば、卵だけ、フルーツだけ、サラダだけでもというのもありだろう。卵なら目玉焼き、卵焼き、スクランブルエッグ、ゆで卵といろいろな食べ方ができ、目玉焼きは何をかけるかだけでも毎日違った味で食べられる。また、両面を焼いてみたり、パプリカの輪切りの中に入るように焼いてみたりと、見た目を変えてみるだけでもちょっと楽しい。かぼちゃやブロッコリーをオイル蒸し野菜にして、1日目は温野菜で、2日目はグラタンで、3日目はスープでとアレンジを加えて食べるというのも飽きずに食べられそうなアイディアだ。

気になる! 朝パフェとハンドメイドエナジーバー

 甘いものを食べたいけれど、カロリーが気になって食べられないという人に「じゃあ朝食べれば?」と言ってしまうのがこの本の大胆なところだ。「朝からスイーツもいいじゃない!」と言い切るところが気持ちいいくらいだ。「朝食べておけばそのカロリーは夜までに消費してしまうのだから!」と「朝パフェ」が3種類紹介されている。他にも「元気な日に作っておけば、しんどい日は楽できる」という発想でナッツやフルーツをふんだんに使った手作りのエナジーバーの作り方も載っているのには驚いた。

 とにかく、食べ物の本なのに、レシピが要るほど手の込んだものはほとんどない。だから、レシピ集とは全く違う。つらい朝も起きたくなる210のアイディアと、お米やパンなどに関するコラムが詰め込まれた、目にもおいしい朝ごはんの総合カタログだった。

文=大石みずき