「相づち」「うなずき」「オウム返し」で“かわいがられる力”を養いたい!

人間関係

公開日:2016/1/28


『かわいがられる力』(安田 正/PHP研究所)

 仕事は同じくらいできる。実績も変わらない。年齢も性別も同じ。それなのに、なぜあの人ばかり周りに支えられうまくいくのだろう。大きな仕事を任されるのだろう。そんな疑問を抱えながらモヤモヤとした日々を過ごしている人もいるのではないだろうか。なぜか上司や先輩に慕われて得をしている。もし、そんな人が周りにいるならばその人はきっと「かわいがられる人」と言えるだろう。

かわいがられる力』(安田 正/PHP研究所)の著者、安田さんもかわいがられて得をしてきた1人だ。

 安田さんが法人向け英語研修の営業をしていた時のこと、ノルマが達成できず落ち込んでいたことがあった。そんなある日、飲食店で会社社長の男性から声を掛けられる。安田さんは落ち込んでいる理由を男性に伝えると、男性は安田さんを気に入りあっという間に300万円の商材を買いノルマを達成するということがあった。

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 また、ある企業向け合宿研修で外国人講師が突如暴れ出し、経験が少ない安田さんが代役として講師を務めることに。全額返金を覚悟で謝罪に行ったところ、安田さんの代役ぶりを評価してもらい、今後は安田さんに講師を頼みたいとお願いされることもあった。

 数々のかわいがられエピソードを持つ安田さん。そんな彼のかわいがられる力はどこにあるのだろう。

 本書に書かれているかわいがられる力の一つに『好意の返報性』というものがある。人は「好意は好意で返す」「受けた恩は返す」といった行動を起こす。仕事上でも、ある情報を受け取った場合、それが有益、無益にかかわらず相手が「自分のことを気にかけてくれている」「好意を抱いている」ということを感じた時には、「何かしらお返ししたい」という気持ちが働き、それが仕事の発展に繋がることが多い。そのためには自分から相手に好意を送ることは必要だ。しかし、仕事や物という形で相手に渡したり、返してもらったりする場合はスムーズだが、そうでない場合にはどうすればいいのだろう。

 そこでオススメしたいのが共感を示すこと。相手の話に「相づち」「うなずき」「オウム返し」などを行うことで相手は好意を感じ取ってくれて、やがては好意の返報性に繋がる。

 安田さんは、かわいがられる人は自然と「相づち」「うなずき」「オウム返し」をしている場合が多いと言う。できているようで意外とできていない共感。反応が薄い人に対して「本当に理解しているの?」「なんだか機嫌が悪いみたい」などと、マイナスな感情を持ったことがあるという人もいるのではないだろうか。

 安田さんはかわいがられる人は「好きになってもらう前に、相手に好きになってもらう」かわいがられない人は「相手から好かれることばかりを考える」と言う。その他にも安田さんはギブ&テイクではなく、ギブ&ギブ&ギブの精神で相手に尽くし、取引先と良好な関係を続けた話なども本書に掲載している。好きになってもらうためには、まず自分からの精神は大切だ。

 実際に、かわいがられる技術は若いうちに必要なものだが、若いうちはお金もないだろうし、ものを送ることもできない。ならば「相づち」「うなずき」「オウム返し」など少しの意識で、かわいがられる能力が少しでも手に入るのならば、試してみる価値はあるだろう。

文=舟崎泉美