熱き男の生き様を描くエンタメ小説レーベル創刊! その名は「NOVEL 0/ノベルゼロ」
更新日:2017/11/16
ライトノベル誕生から四半世紀が過ぎた。SFや王道ファンタジーに始まり、学園ハーレムもの、超能力バトル……ラノベは時代の流行を反映しながらも、常に僕らの憧れを描き胸を躍らせてくれた。だが、読者はいつまでも“少年”ではいられない。漫画読者が少年コミックから青年コミックへと移ろうように、“大人”になった僕らは、ラノベの「次」を求めている。学園を卒業して踏み出した世界には、厳しい現実という名の怪物たちが待ち受けている。理不尽な出来事に唇を噛み、人知れず悔し涙を流し、それでも朝になれば、再び社会という戦いに向かっていかねばならない。それでも挫けそうになった時、僕たちは望む。強大な敵に屈することなく、逆境に立ち向かい、明日を切り開くヒーローを。
KADOKAWAの小説文庫新レーベル“ノベルゼロ”は、“格好いい大人の生き様”を唯一のテーマ・矜持とし、大人になった読者に、熱い物語を届けるべく創刊された。
レーベルに込められた想いは、創刊6作品にも色濃く表れている。ファンタジー世界、昭和の日本、現代社会――それぞれの舞台で活躍する主人公たちは、皆、大人の男だ。
『無法の弁護人 法廷のペテン師』(師走トオル)は、新人弁護士・本多と法曹界の異端児で“悪魔の弁護人”と呼ばれる阿武隈が、困難な裁判に立ち向かう。「他人のウソを見破る超能力を持つ」とうそぶく阿武隈は、キャバクラの片隅に居座って事務所代わりにし、書類仕事は全て他人任せで、言葉遣いも荒く、誰かが起こさなければ裁判には3分の2の割合で遅刻する。およそ世間のイメージする弁護士とは程遠い。だが、ひとたび法廷に立てば、千両役者の如く流麗に語り、駆け引きし、裁判官や裁判員、果ては検察側までも引き込むような弁論を繰り広げる。どんな危機に陥っても、決して動じることなく、時には法廷での“禁じ手”を使ってでも、依頼人の無罪を勝ち取るのだ。その無法なやり方をして、周囲に“悪魔”と呼ばしめる阿武隈だが、「依頼人を守るために全力を尽くす。必要なことはなんだってやる。それが俺の基本姿勢だ」と悪びれることはない。正義感に厚い本多とペテン師阿武隈のコンビの戦いから、目が離せない。
霊獣から授かった聖なる甲冑を巡る冒険を描く『皿の上の聖騎士〈パラディン〉1 ― A Tale of Armour ―』(三浦勇雄)、かつてトラブルシューターとして名を轟かせた現・書店店長が裏社会を巻き込む事件に挑む『ブックマートの金狼』(杉井光)、不死の男と機械仕掛けの男のコンビが、敗戦後の日本を駆けまわる活劇。昭和史に切り込む『S20/戦後トウキョウ退魔録』(伊藤ヒロ、峰守ひろかず)、一時的に魔法使いになる映像電子ドラッグを発明した科学者の青年が、本物の魔法使いたちの戦争を引き起こしてしまう『インスタント・マギ』(青木潤太朗)、人間と魔物が共存する社会で人魔社会の平和維持活動に奔走する調停局の新人実働官を描く『竜と正義 人魔調停局 捜査File.01』(扇友太)――の、6作品が創刊タイトルにラインナップされている。
ひと癖もふた癖もある男たちが、困難な状況に行く手を阻まれながらも、決して諦めることなく、強い決意と誇りを胸に立ち向かい、痛快な逆転劇を繰り広げる! その姿は、かつて僕らが見上げ、憧れたヒーローに他ならない。彼らが命懸けで信念を貫き通す生き様は、大人になって忘れかけていた情熱を思い出させてくれる。そして、僕らに問いかける。「まだ胸に残る熱い牙はあるか――?」と。
そして、このノベルゼロの「格好よさ」は、熱い大人の物語だけにとどまらない。「シンプルなカバー+幅広オビ」という今までにない装幀は、書棚に飾りたくなるような背表紙、電車やカフェでも堂々と読めるようなカバーから成っており、思わず書店で手に取りたくなること間違いなし。
間もなくヴェールを脱ぐノベルゼロ。再び心に火を点す時が来た。
文=水陶マコト