『orange』高野苺が描く、“女1人+男3人 同居もの”ラブコメディ『夢みる太陽』

マンガ

公開日:2016/2/5

 最新作『orange』が「このマンガがすごい!」(オトコ編)や「全国書店員が選んだおすすめコミック2015」の上位にランクインし、単行本累計部数は400万部を突破。土屋太鳳山崎賢人の主演によって実写映画化もされ、今、もっとも注目を集めている漫画家の一人である高野 苺。

 今回紹介するのは、その高野の代表作『夢みる太陽』である。

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 主人公は、高校2年生の亀戸しま奈。母親は3年前に交通事故で亡くなり、やがて父親が再婚。義理の弟が生まれ、「居場所がない」と感じるようになったしま奈は家出をし、公園で、酒に酔って倒れていた藤原 虎(たいが)と出会う。

 虎は、しま奈と同じ高校に通う3年生の龍ヶ江朝陽、2年生の中城 善と一緒に一軒家で暮らしており、しま奈も虎の家に身を寄せることに。同居にあたり、虎はしま奈に「夢を持て」「恋をしろ」と告げる。それまで「やりたいことも目標もなく生きていた」しま奈は、三人との共同生活の中でさまざまな人間模様に触れ、少しずつ成長していく――。

 本作の魅力は、何よりもまず、登場人物たちのキャラクター造形にある。元気で「思い込んだらまっしぐら」なしま奈、酒癖は悪いが、しま奈たちを保護者のように温かく見守る虎、「弁護士になる」という夢を抱き、常に相手の気持ちを考えて行動するイケメン・朝陽、カンフーマニアで少しおバカで、しま奈の良きケンカ相手である善。明るさを失わず、恋や夢に向かってひたむきに進んでいく彼らの姿はかわいらしく、キラキラしていて、つい応援したくなってしまう。

 しかし『夢みる太陽』は、ただ「明るいだけ」の話ではない。登場人物たちはそれぞれに何らかの事情を抱えており、ときにはシリアスな局面を迎えることもある。そのあたりのギャップも、本作の大きな魅力だ。

 もともとは集英社マーガレットコミックスから刊行されていた『夢みる太陽』だが、今回、双葉社アクションコミックスから新装版として発売されることに。それに伴い、ストーリーはそのままに、絵柄が大幅に描きかえられている。すでにマーガレットコミックス版を読んだという方であれば、見比べてみるのも楽しいかもしれない。

 新装版『夢みる太陽』は全10巻。昨年12月に1、2巻が発売され、2016年2月12日に3巻が発売される。

 『orange』と作品のテイストは違うが、本作にも高野苺の「名言」が散りばめられている。すでにファンの間では「『orange』と『夢みる太陽』のどちら派か」というちょっとした論争が始まっているんだとか。あなたはどちらの作品にハマるのか!?

文=村本篤信

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