現役作家がキャラ化!? 綾辻行人VS京極夏彦VS朝霧カフカ

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/16

文豪ストレイドッグス外伝 綾辻行人VS.京極夏彦』(著:朝霧カフカ、イラスト:春河35/発行:KADOKAWA)

累計220万部を突破し、2016年4月からはいよいよTOKYO MXほかにてTVアニメの放送も始まる『文豪ストレイドッグス』。中島敦、太宰治、芥川龍之介など名だたる文豪が異能力を用いて熱いバトルを繰り広げるアクションコミックだ。

1月30日には、シリーズ本編の原作を担当する朝霧カフカによるスピンオフ作品『文豪ストレイドッグス外伝 綾辻行人VS.京極夏彦』が刊行された。タイトルを見て解る通り、この『外伝』では現役の作家、綾辻行人と京極夏彦が対決する。さらに綾辻の監視役として辻村深月も参戦! まさに3人の現役人気作家がキャラクター化されて登場するという、前代未聞の設定となっている。

左から、綾辻行人氏、京極夏彦氏

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その『外伝』の刊行を記念して、2月3日、アニメイト新宿で綾辻行人、京極夏彦、そして著者の朝霧カフカの3名によるトークショーが開催された。会場は100人以上のファンで埋まっており、整理券の配布はわずか2日間で終了するほどの人気だったという。

そもそもなぜ、現役の作家がモデルとなって登場することになったのか? その発端はコミックの帯の推薦コメントにあったという。コミック第2巻でのコメントを綾辻が、第3巻を京極がそれぞれ担当し、そのときにすでにコミックの作画を担当する春河35によるイラストが描かれていた。さらに販促用のポスターが両者の対決の構図になっていたことから「この対決の続きを読みたい」という意見が各所から聞こえてくるようになり、今回の『外伝』に繋がったという。

「担当が、やっちゃいますよーと話を進めた」(綾辻)、「何に対して許諾したのかよくわからない」「艦これ、刀剣乱舞みたいなものでしょう」(京極)と両者とも自身がキャラクター化されることに対して若干の戸惑いを見せつつも、作品に対しては「おもしろい!」と絶賛している。「最後のどんでん返しがすごい。プロットを読んでいて、その時点からあまり心配していなかった」(綾辻)、「僕が要求するのは“おもしろい”ことだけ、そしてとてもおもしろかった」(京極)とコメントした。

著者の朝霧は、モデルにした2人とはこの日が初対面だったという。「事前に会うという話もあったけれど綾辻さんのキャラクターをドSにしようと決めていたので、あえて会わないほうがぶっ飛んだキャラクターにできると思い会わなかった」と語り、さらに「先輩作家の3人が必ず読むと決まっているので力を抜けなかった」とプレッシャーを感じながらの執筆だったことを明かした。

イベントではその後、質問コーナーや、サイン入り単行本の抽選会などが行われた。質問の中には「作品に登場させたい知り合いの作家は?」といったきわどいものもあり、戸惑いながら答える綾辻、京極の両名に、会場は盛り上がりを見せていた。

最後に「もはや傑作と言っていい出来」(綾辻)、「辻村深月の登場のさせ方は見事」(京極)といった作品への評価を受けて、朝霧からは「続編」という言葉も飛び出した。同じ両名の続編になるのか、また新たな現役作家が参戦してくるのか、楽しみに待ちたい。

左から、綾辻行人氏、朝霧カフカ氏、京極夏彦氏

当日のダイジェスト版映像は、2月中旬に角川書店ブックチャンネル上にて公開予定だ。
https://www.youtube.com/user/arasujich

■『文豪ストレイドッグス外伝 綾辻行人VS.京極夏彦
著:朝霧カフカ
イラスト:春河35
価格:1,000円(+税)
発売日:2016年1月30日(土)
発行:KADOKAWA
「文豪ストレイドッグス」公式HP

綾辻行人は、殺人事件の真相を見抜くと犯人が必ず事故死するという異能「Another」を持ち、“殺人探偵”と呼ばれている。危険異能者を管理する異能特務課の新人エージェントである辻村深月は、綾辻の監視任務につくが、頭脳明晰で口が悪い綾辻に翻弄されてばかりいた。そんなある日、綾辻と辻村は政府の依頼で、ある奇怪な殺人事件にまつわる謎を解決する。だがそれは、綾辻の永遠の宿敵であり、社会の敵(パブリックエネミー)である怪人・京極夏彦との命懸けの闘いの始まりに過ぎなかった。