清野とおる×カマタミワ対談“本当に関わったらヤバい人“は最初の挨拶への反応で分かる!【後編】

マンガ

公開日:2016/2/19

2月19日に同日発売される新刊『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』2巻『ウヒョッ!東京都北区赤羽』5巻『ひとりぐらしもプロの域。』を記念し、赤羽で行われた漫画家・清野とおると、イラストレーター・カマタミワの対談。今回はその後編をお届けする。

『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』は、「何かグッと来る」の「何か」の部分を具現化しただけの作品

――前編では清野さんが『ひとりぐらしもプロの域。』に共感した部分を聞きましたが、カマタさんも清野さんの『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』には共感したそうですね。

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カマタ:清野さんのマンガって、食べる場面が本当に美味しそうなので、読んでいると自分も食べたくなっちゃうんですよ。この本の「さけるチーズ」の人の話もマネしたくなりました。顔の上を細く裂いたチーズでなぞるのが、何か気持ちよさそうで(笑)。

清野とおる/講談社

清野:『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』は、「何かグッと来る」の「何か」の部分を具現化しただけの作品なんですよ。「理由はわからないけど何か楽しそう」という(笑)。

カマタ:さけるチーズで顔の上をなぞる感覚って、ほかのものでは味わえなそうですもんね。微妙にしっとりした感じとか(笑)。

――清野さんは家で料理をしたりはするんですか?

清野:ご飯を炊いたり、野菜を煮込んだお汁を作ったりする程度ですね。

カマタ:いいですよね、具沢山の野菜のお汁! 一人暮らしで凝ったものは作りたくないけど、野菜は摂りたいというときに便利で。私も本に描いたようなスープをよく作ります。

清野:あとカマタさんの本に出てきた話だと、「洗顔の後、タオル代わりにティッシュで顔を拭く」というのは僕もやりますね。

カマタ:やった!仲間ですね。

清野:あのティッシュの感触が好きなんですよ。一瞬で水分を吸い取ってくれる感じとか、顔当たりの良さとか(笑)。あと顔拭いただけで捨てるのは忍びないので、その水分を吸ったティッシュで、ホコリが溜まっている場所を掃除したり。玄関のドアの下の金属部分とか、顔を拭いたティッシュでツーって拭き取ると、すごく気持ちいいんですよ。

カマタ:分かります!しっとりしているからホコリを吸いやすいんですよね。

 

“本当に関わったらヤバい人“は最初の挨拶への反応で分かる!

カマタ:あと私、今日は清野さんに「変な人に話しかけるときの極意」も教えていただきたくて。私はビビリで人に話しかけられなくて、ブログでも人から話しかけられるネタばかりなんです。

清野:でも僕も、『東京都北区赤羽』の最初の頃は話しかけてくる人ばかりをネタにしてましたよ。ペイティさん(※1)も最初はむこうから話しかけてくれましたし、「居酒屋ちから」(※2)も店の前でママに捕まって入りましたし。

※1 赤羽に出没する謎多き女性ホームレス、清野が“孤高の天才アーティスト”として尊敬する人物。

※2 一癖も二癖もあるマスターと悦子ママにより経営されていた数々のエピソードを残す伝説の居酒屋。現在は閉店している。

カマタ:言われてみればそうでしたね。それで私、一つ後悔があって。前に住んでいたマンションで、1階のおばあちゃんに「うち、スゴい汚いのよ!だから寄っていきなさい」って変な誘い文句で部屋に引きずり込まれそうになったことがあって(笑)。おばあちゃんだから安全そうだし、清野さんの本を読んで「入っておくべきだった!」って思うようになりました。

清野:でも本当にタチの悪い狂気を持っているのはおばあさんの方なんですよ。おじいさんは純粋に狂っているだけの人が多いです。

カマタ:そうなんですか。実は私、清野さんみたいに変な人とちゃんと会話をしてみようとした結果、相手に羽交い締めにされたりとかして、警察に助けてもらったこともあって(笑)。

清野:やっぱり女性は危険だと思いますよー。

カマタ:話しかけて大丈夫な人と、そうじゃない人を見分けるコツはあるんですか?

清野:経験を積むしかない部分もありますけど、最初から取材というムードでお願いするのではなく、「こんにちは」「こんばんは」という挨拶から始めると、相手がどんな人か分かりやすいですね。

カマタ:そうなんですか!

清野:目を見て「こんにちは」と返してくれたら、それは大抵大丈夫な人。逆に無視されたり、返事があいまいだったりすると、注意が必要かもしれませんね。

カマタ:なるほど~!

清野:あとは着ているものとか、持ち物とかの見た目ですね。細かいところまで観察すると、「言っていることは変だけど、そこまでヤバい人じゃないんだろうな」と感覚で分かるようになります。あとニオイですね。ヤバい人からはヤバいニオイがするんですよ。

カマタ:物理的な匂いというより、フェロモン的な感じですか?

清野:そうかもしれないですね。逆に男でも女でも、「ああ、この人はいいニオイがするな」という人とは仲良くなれるんですよ。

カマタ:分かります!話しかけるとき、持ち物とか匂いのことは考えたことなかったので、凄く参考になりました!

――では最後に、ともに2月19日に発売になる『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』2巻・『ひとりぐらしもプロの域。』の読みどころを教えて下さい。

清野:2巻では、薄皮パンを噛まずに口の中で溶かして食べる男とか、土日で誰にも会わずに過ごす男の話とかが出てきます。今まで以上に僕が翻弄される話が多いですね。

『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』2巻

カマタ:あ、土日で誰にも会わない人の話は『モーニング』で読んで共感していました(笑)。私の『ひとりぐらしもプロの域。』は、一人暮らしのザツなテクニックが色々出てくるので、「これやってみよう!」と思ってもらえたり、笑ってもらえたりしたら嬉しいです。あとこれからは、清野さんのような人の懐に飛び込むテクニックを身に付けて、外に出てレポートもしてみたいです!

――しかしカマタさん、無理して危険な取材をしなくても……。

カマタ:でも私、いろんな人の面白さをもっと深堀りするような話も描きたいんです!

清野:それでも女性1人で変な人に立ち向かうのは危ないですからね。

カマタ:じゃあ誰かと一緒のほうがいいんですかね?

清野:でもドラクエと一緒で、パーティーが4人になると、経験値も4分の1になっちゃうんですよ(笑)あと安全面で言えるのは、周りに人がいるような場所で話しかけるとか、シチュエーションに気をつけるとかですかね。

カマタ:なるほど! 気をつけて頑張ります!

清野:頑張ってください、さようなら!

なお取材後、カマタミワは「私、駅のまわりを小一時間うろついてから帰ります~」と言い残し、1人で夜の赤羽に消えていった……(その後どうなったかは不明)。

取材・文=古澤誠一郎

 

その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』2巻

清野とおる 講談社

「おこだわっちゃえば、いいんじゃない?」ーー昨今、老若男女の間で交わされる奇妙な挨拶の起源がこのマンガ作品にあるのだという。この巻でも、薄皮ミニパンの「魔法の食べ方」、乾燥梅干しを悪用した「立ち飲み屋テロ」、中国うなぎの「錬金術」、「シアワセの寝ぬ生活」、著者の清野ですら絶望した「前代未聞の読書術」などの「おこだわり」を紹介している。あにはからんや、読んだとたんに実践したくなってしまうとは……。

ひとりぐらしもプロの域。

カマタミワ KADOKAWA

アメブロで超絶人気!『半径3メートルのカオス』の著者カマタミワによる待望の初書籍!!18年めになる一人暮らしのすべてをさらけ出しました。オールカラー、大容量の176ページ!しかも描き下ろし100ページ超!!ブログを熟読してきた人にもソンをさせない読みごたえたっぷりの内容でお届けします。

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『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』が『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』としてフェイクドキュメンタリードラマ​化!

清野とおるのコミック『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』を題材に、ドキュメンタリー監督の松江哲明が描くフェイクドキュメンタリードラマが4月から放送開始! コミックでお馴染みの「ポテトサラダの男」や「帰る男」らの“おこだわり人”も登場する。一方で、本人役で登場する松岡茉優、伊藤沙莉らの演技は「どこまでが2人の本当の姿なのか」と分からない部分もあり、ドラマはコミックとは全く異なる完全オリジナルストーリーへ進んでいく……。

『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』』
2016年4月スタート 毎週金曜深夜 0時52分~1時23分
放送局:テレビ東京・テレビ大阪 ほか
出演:松岡茉優、伊藤沙莉 ほか
監督:松江哲明
http://www.tv-tokyo.co.jp/okodawari/