日本に存在する「カルト村」の実態とは? 食事抜き、体罰、手紙の検閲…まるで軍事国家のような支配

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更新日:2021/10/11

 たとえば、村での食生活について。食事は1日2食で、「お昼は腹八分目、夜は十二分目に食べよう」というのが村の方針だ。しかし、子どもたちの“世話係”の機嫌を損ねてしまうと、さあ大変。育ち盛りの子どもには残酷な、「食事抜き」という罰を与えられてしまうのだ。高田氏は特に問題児だったため、このご飯抜きがしょっちゅうだった。それで編み出したのが、なんでも食べてみるという荒業。理科室の塩を舐め、甘い歯磨き粉を舐め、挙句の果てに「お供え物」「薬」「動物のエサ」まで食べてしまったという……。これが先進国日本でのできごとだなんて、にわかには信じがたい。

 さらに村では、「体罰」が横行していた。しかも、高田氏がいた村はスパルタで有名なところで、子どもたちは常に戦々恐々としていたそう。「平手打ち」「裸で立たせる」「暗所への閉じ込め」などは、当たり前。「平手打ち」×「髪の毛掴み」×「引きずり回し」×「壁に打ちつけ」という恐ろしいコンボもあったとか。親元から引き離された数十名の子どもを、1~2名の世話係が管理するという状況下では、暴力での抑えつけが最も効率的だったのだろう。しかしながら、もはや虐待では済まされないレベルである。

 子どもたちを抑えつける手段として、徹底した情報の管理も行われていたという。顕著なのが、「手紙の検閲」だ。しかも、内容をチェックするに留まらず、「むかついた」や「さいあくだ」というマイナス表現は黒く塗りつぶされてしまう。旦那さんのツッコミを借りるとすれば、さながら「軍事国家」である。徹底的に情報規制し、子どもたちに知識を与えない。そうすることで、環境への不満が生まれないようにしていたのではないだろうか。はたから見ればどんなに異常だとしても、当事者たちがなんとも思っていなければ問題は生まれない。そう、これは独裁国家のようなやり方だ。

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 こういった経験を積みながら成長していく村の子は、高校を卒業するタイミングで村を出るかどうか選べるようになる。高田氏はそこで一般社会へ出ることを選択し、旦那さんとめぐりあい、結婚。いまは普通の暮らしを楽しんでいるという。

 カルト村で育った高田氏は、ぼくらが当たり前のように享受している生活を、心の底から満喫している。会社で働くこと、買い物をすること、休日に出かけること……。そんな高田氏を見ていると、幼少期の経験は本当に貴重なんだと痛感させられる。なんにせよ、高田氏の今後の人生に幸多きことを願いたい!

文=前田レゴ