「特技は不要」? 「努力は必ずしも報われない」!? 厚切りジェイソン、漢字だけでなく日本人もバッサリ!
公開日:2016/3/17
「親を切ると書いて、親切。Why Japanese people!!!」「ヘタしたら殺人じゃん!」
底抜けに明るい大声で、漢字に絶妙なツッコミを入れるアメリカ出身の人気芸人、厚切りジェイソン。日本人が思わずハッとする視点をネタにブレイクしている彼の初めての書籍が、『日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy』(厚切りジェイソン/ぴあ)。ネタに劣らずキレていると話題を呼んでいる。
本書は、ジェイソンがツイッターで行っている悩み相談を書籍化したもの。日本語と漢字を巧みに操り、IT企業の役員としても活躍するジェイソンは、学業や仕事をはじめとする様々な悩みを一刀両断。漢字ネタ同様、言われてみればそうかも!と膝を打つ痛快な回答で、瞬く間にツイッターのフォロワーは23万人を超えた。
——努力を継続するには?
「継続すること。ただただやれよ。なんで続けようとしないの?」
——人とすぐに仲良くなれない
「仲良くなったかどうかを気にしすぎていない?自分らしく本音で話し合えば
自然と仲のいい人を見つけられるよ。それで仲良くならない人は別にいらない」
一見すると突き放したようだが、実は愛情がいっぱい。努力や目標を設定するときに壁を大きくしすぎと指摘し、もっと小さくて、できることから積み重ねればいいと背中を押す。「日本人はストレスを実感しようとしている」と不思議がるジェイソンが、日本で働いているのも、ずばり日本が好きだから。回答は、厳しくも質問者らの将来を慮っていてこそのコメントとわかる。
——努力は必ず報われる?
「いいえ、必ず報われるとは限らないね。ムダな努力もある。
かしこく努力しないとどうにもならない。
・なんで努力している?
・目標と近くなっている?
と常に問わないと、結局動いているけど、進んでいないことになる。
「考える」のが大事、と繰り返すジェイソンは、暗記ばかりの日本の教育制度にもだめ出しをしている。物事には、結果に結びつかないということは意外と多い。見当違いの努力をして、「報われない」と嘆いても自分が悪いだけと諭しているのだ。
——特技がない
「特技とか得意なものは別に不要だけどね。
聞かれるのはお互いにアイデンティティを探るためだろうけど、特技と得意なことで
アイデンティティを決めつけるのは悪い癖だと思う。
ちなみにアメリカでは、得意なこと、特技は聞き合ったりしない。
代わりに何に興味があると聞く。
日本の履歴書に「趣味・特技」を書く欄があって、驚いたというジェイソン。それぞれの個を際立たせるのに、例えば手芸やジャグリングが出来るとあっても無意味だろうというのだ。日本では「和」の精神があるので、それで親しみを感じてという効果もありそうだが、前述の「仲良くなったかどうか」と同じく、表面的なことにすぎないのかもしれない。
48のすべてがその通りとは思わないだろう。ジェイソンも、賛成できないところもあって当然と語る。意見は違うのが当たり前。そこからいかに相手を知るか、違いがあれば理解し合えるようにしたり、説得したりすることが大切なのだ。
世界平和には何が大事かと聞かれたジェイソンはこう答えている。
「相手が同じ人間だと知り尽くすこと。同じように子供から大人になり、
同じように友だちとふざけた話をしたり、
同じように恋人にフラれたり、同じように生きています。
戦争とかになると相手が人間ではなく、
化けものになっていくから殺し合いをしやすくなる。
みんな同じなのにね。
化けもの愛しがたい。家族愛しやすい。」
「考える」ことは、想像すること。
日本の将来を少しでも変えられればというジェイソンは、日本だけでなく世界をも巻き込んで多くの人の未来を明るく変えていくかもしれない。
文=松山ようこ