ほとんどデレないツンデレにどうしてこんなにときめくのかなーと思っていたら、彼らの“デレ”を読者が存分に堪能しているからだと気づいた『高嶺と花』（師走ゆき/白泉社）。以前にもご紹介したツンデレとツンデレがマウントをとりあう年の差ラブコメ、待ちに待った4巻がついに発売です。

　本作は、姉の身代わりに見合いをしたら、出てきたのがスーパーエリート御曹司様だったというシンデレラストーリー。外見にもスペックにもまったく惑わされない防弾ガラスみたいな女子高生・花と、ツンデレと自意識をこじらせてまったく女慣れしていない残念イケメン・高嶺、2人の掛け合いが笑いとときめきを呼ぶ本作は、なんとはやくも累計50万部突破だそうです。おめでとうございます。

　恋愛感情ゼロからスタートした2人ですが、一緒に過ごす時間の増えた４巻ともなれば変化も訪れようというもの。揺れる花ちゃんの乙女心に注目ですが、高嶺の秘書になった新キャラ・霧ケ崎さんの登場も要チェック。有能だけど空気は読めず思ったことをそのまま口にしちゃうクール眼鏡の彼、どうやら高嶺の失脚をもくろむ誰かから差し向けられたスパイの様子。高嶺ご執心の女の子が高校生と知られてしまったからまあ大変！ というハラハラ展開を見せてくれます。まあ、どんなときでも高嶺は高嶺で、あいかわらずのナルシストっぷりと大人の優しさを見せてくれたりするんですけどね……。

「俺は自分以外の人間に完璧は求めてない　期待してないから安心しろ　だが努力はしろ」

　というのは高嶺のセリフですが、自分が努力しているときって、他人にも同じレベルを求めがち。だけど高嶺は違うんですよね。その人なりの最大限が見えるならばそれでいいと思える懐の深さを持っている。俺サマ完璧！ な人だから、足りない部分は自分で補えばいいと思っているのかも。もしかして花に対してもそんな度量で接しているのかな、高嶺が鎧を脱ぎ捨てられる相手＝花を見つけて癒されていると思っていたけど、実は逆なのかも……なんて思わされてしまった4巻。ときめくというより、そのかっこよさが妙に悔しくて、ああ花が素直に彼の色気を受け入れられない理由はこれかと妙に納得した次第。いろんな意味で、高嶺は偉大です。

　なんせ4巻発売にあわせて始動したBIGプロジェクトも、「目指せ！全国制覇!!　高嶺さんの天下取り！47都道府県視察参り」ですからね。１年かけて全国視察に乗り出すそうですよ。原寸大ご当地高嶺さん立て看板って……そんなの絶対、見つけたら一緒に写真とっちゃう……。なんか写真をPCに取り込んだら、ないはずの薔薇が映ってそうだなあとか思いつつ、大盛り上がりを見せる本作の今後がますます楽しみなのでした。

文=立花もも