浅野いにおが“女子の妄想”を描いたサントリー・ふんわり鏡月の『ふんわり妄想マンガシアター』が面白い!
更新日:2016/3/25
サントリーの人気焼酎銘柄・ふんわり鏡月の特設サイト内にある『ふんわり妄想マンガシアター』が、にわかに注目を集めています。この『ふんわり妄想マンガシアター』とは、浅野いにお先生や今日マチ子先生、桜沢エリカ先生などの名だたる人気漫画家が“女子の妄想”をコンセプトに描いた、短編マンガが無料で読めるスペシャルコンテンツ。
普通の無料ウェブ漫画ならば、それほど目新しくもないのですが、『都合のいい男』(西島大介)はBGM付き、『甘酸っぱい男』(今日マチ子)はふんわり鏡月購入時にもらえるシリアルナンバーの記入で全編公開など、ついついクリックしてしまう仕掛けが隠されているのです。
それらのなかでも、アクセスするごとに内容が変化する仕様と、独身アラサー女性の心をくすぐるストーリーが楽しめることで人気なのが『ふんわり男』(浅野いにお)。
1回目のアクセスでは、金曜の夜にスーパーでふんわり鏡月を大量に買い込む先輩こと“ふんわり女”と、彼女の後輩“ふんわり男”が登場し、2人が手を繋いで彼女の家に帰るまでのストーリーが描かれます。一読目は、登場人物の表情とセリフ、背景のみで構成されているので、2人の関係性や心の中まではうかがい知れず、セリフと展開のつじつまが合わない……なんて感想を抱いてしまう人もいるかもしれません。
しかし、再度同じページにアクセスすると、作品のタイトルが『ふんわり男(に、ふんわり女は、何を思う)』に変わり「ゆっくりスクロールして、ふんわり女の心の叫び、聞いてください」という一文が付け加えられます。指示通りに、ゆっくりスクロールしていくと……
三十路を目前に控え、覚悟はすっかり出来上がっていた。
ついにというかやっぱりというか。会社のパソコンで単身用の分譲マンションをチェックする癖がついてしまった
などなど、突如として彼女のモノローグが出現! そして、一度目のアクセスでは多くを語らないふんわり女ですが、
…そうだよ。君みたいなふんわり男は私のツボなんですよ。人が近づくなオーラ出しててもニコニコ無邪気に近寄ってきてどんどん心に踏み込んでくる。そういう奴!!(中略)確かに優しいし寛容で落ち着くんだけど、それは誰に対してもそうだから要するに八方美人で、すーぐ女の相談に乗って情に流されるから、「君は一人でも生きいける女性だから」とかいう謎の言い訳を残して、どうせ私より若くてかわいくてか弱い女のとこに行っちゃうんだよアハハハ~
と、心のセリフは大洪水。コマはモノローグでびっしり埋めつくされていますが、ふんわり女のあふれる本音をしっかり読めば、思わずうなずいてしまう女性も多いはず……! さらに、3回目のアクセスで公開される『ふんわり男(は、何を思う)』では、ふんわり女の心中も察することなく、マイペースに物思うふんわり男のモノローグに胸キュン! なんともニクイ演出が待っています。
定番のマンガ技法でもある「モノローグ」を使い、ウェブ漫画の新たな可能性を広げたと目される『ふんわり妄想マンガシアター』。これから公開される作品もあるようなので、要チェックですよ!
文=不動明子(清談社)