宮崎秋人「『熱海殺人事件』の舞台に立つ。役者としての、この夢に僕は固執していきます」
公開日:2016/4/6
『弱虫ペダル』『東京喰種トーキョーグール』、ミュージカル『薄桜鬼』など、“2.5次元”の舞台でも数多くのキャリアを積んできた宮崎さん。4月末から開幕する『ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」』では、その伸びやかで力強い演技ととともに、座長としての活躍も期待される。
「“2.5次元”は、観てくださる方のなかに前もってその姿が存在しているので、自分の思うナツとみなさんの抱くナツをすり合わせていくのが、役者としてひとつの大きな仕事だと思っています。“2.5次元”は今、ブームになっているけど、それに乗っかっているだけじゃ何も残せない。このコンテンツを引っ張っていける、そして何か残していける人間になりたいと思っています」
それだけではない。真逆とも言えるほど、様々なジャンルの芝居に挑戦している姿は、振れ幅の大きさを感じさせてくれる。会話でつないでいくシュールなコメディ、そして自身の役者人生に一石を投じた、つかこうへい七回忌特別公演『引退屋リリー』――。
「憧れでしたね。つかさんの作品に出させていただくことは。D-BOYSの先輩・柳下大くんが出演した舞台『熱海殺人事件』を観て、“これはすごい!”って圧倒されたんです。膨大なセリフ量、パワー、熱を、あれほどのスピードに乗せた芝居に。正直、役者としてのキャリアも力もまだまだな僕に、つか作品は無理だと思っていました。でも『引退屋リリー』でマコト役を演らせていただき、“もっと演りたい!”という熱が高まってきたんです」
そして『引退屋リリー』で演出を務めた岡村俊一、共演した馬場徹、山崎銀之丞と、生前のつかこうへいを知る人々から話を聞くにつれ、「つかさんにお会いしたかった」という想いは募っていったそう。
「役者を見て、その役をつくっていっていると。稽古場で役者を通してセリフをつくっていく“口立て”という独自のスタイル、すごいですよね。役者の口から出る言葉を信じている。文字よりも音、声の持つパワーというものを。そのお話をうかがったとき、舞台に立った役者が発するセリフ、動きには1ミリの嘘があってもいけないんだと思いました」
「目標は『熱海殺人事件』の舞台に立つこと」と、瞳に熱がこもる。
「つかさんが信じる役者の力。それを自分のなかにもっともっと培っていきたい。目指すのは、役者として尊敬し、超えることを目標としている柳下大くんが演じた大山金太郎役。演出家の岡村さんには“おまえにはまだまだ無理だよ”って言われるけど(笑)、その言葉も悔しい反面、今、心地よく感じられて。追い続ける、固執する夢が自分にはあるってことですから」
(取材・文=河村道子 写真=下林彩子)
みやざき・しゅうと●1990年、東京都生まれ。2011年、舞台『Blood Heaven ~第七天国~』で俳優デビュー。主な出演作に、ミュージカル『薄桜鬼』、舞台『殿といっしょ』『弱虫ペダル』『東京サンダンス』など。近作に、『東京喰種トーキョーグール』『Messiah メサイア』、Dステ17th『夕陽伝』、AGAPE store『七つの秘密』がある。
ヘアメイク=仲田須加
『熱海殺人事件』『蒲田行進曲』を生んだ天才演出家・つかこうへい。だが、その真の姿が伝えられたことはかつてなかった─その黄金期をともに行動した著者が、風間杜夫をはじめ関係者を徹底取材した一冊は、伝説の舞台、そして人間・つかこうへいの魅力を鮮やかに描き出す。つか評伝の決定版。
『ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」』
原作/真島ヒロ『FAIRY TAIL』(『週刊少年マガジン』連載) 脚本・演出/児玉明子 会場/サンシャイン劇場 4月30日(土)~5月9日(月) 出演/宮崎秋人、愛加あゆ、白又 敦、佃井皆美、桃瀬美咲、荒木宏文ほか
●魔導士たちに様々な仕事を紹介する魔導士ギルド。“妖精の尻尾(フェアリーテイル)”の仲間は、炎を自在に操る滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)・ナツを中心に個性たっぷりの連中ばかり。そんな彼らに闇のギルドを討伐するミッションが──。
(c)真島ヒロ/講談社 (c)「FAIRY TAIL」舞台製作委員会2016