「オーガニックコスメ」は危険!? 10秒で見抜けちゃう! 成分から読み解くベストコスメの選び方

美容

公開日:2016/4/11


『化学者が美肌コスメを選んだら…――じつは10秒で見抜けます』(かずのすけ/三五館)

 三十路をとうに越え肌の衰えをひしひしと感じる今日この頃。数年ぶりに化粧水を変えた。高級デパートの化粧品売り場で購入した、1本7000円近くするブランドものだ。ショップのビューティーアドバイザーとやらに教えてもらった通り、コットンにたっぷりとって肌に塗りこんでみたのだが、どうも肌に合わなかったらしい。目の周辺の薄い皮がはがれ落ち、肌荒れを起こしてしまった。これだから化粧品選びは難しい。

化学者が美肌コスメを選んだら…――じつは10秒で見抜けます』(かずのすけ/三五館)は、横浜国立大学で有機化学を専門に化粧品のリスクを研究するドクターコースの大学院生・かずのすけさんの著作。確かな知識を生かした化粧品解析やコラムで人気のブログをまとめた一冊である。化粧品に関する非科学的な情報が氾濫していることを憂う著者は、洗顔料やクレンジングオイル、化粧水、日焼け止め、美容液などの化粧品の成分表を読み解く方法を伝授する。

 では、7000円の化粧水はいったい何がよくなかったのだろう? 成分表を見ると、42のよくわからないカタカナが並んでいる。成分表示は配合量が多い順に記載されているので特に1~2行目に注目すべきとのことだが、3番目にある「エタノール」が曲者だったようだ。本書によると、お酒の主成分でもある「エタノール」は、化粧水においてまず避けるべき成分。化粧水のベースとして利用されていることが多く、キメが整い毛穴が縮み、一時的にきれいになったように見える。しかし、揮発性があり周囲の熱エネルギーを吸収しつつ、水分も一緒に持っていってしまう。このためエタノール主体の化粧水は乾燥を招きやすいという。確かに、肌につけるとひんやりとした心地良さを感じたのだが、それは同時に水分が蒸発する感覚だったのかもしれない。

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 次に気になるのが以前使っていた化粧水だ。ドラッグストアで簡単に購入できるもので、お値段1本約4000円。こちらは24の成分から作られていた。注目すべきは2番目の「BG」と3番目の「グリセリン」。ともに化粧水の主成分であり、「エタノール」に比べると皮膚への刺激が弱いそうだ。ちなみに、「BG」が比較的さっぱりした質感で、「グリセリン」はしっとり感が特徴。使っていた化粧水は水のようにさらさらなタイプだったので、成分表の並び通り「BG」が多く含まれていたようだ。著者は、この2つの成分のどちらかをベースとする化粧水を推奨している。確かに長らく愛用してきて特にトラブルはなかった。なかなか使える化粧水だったようだ。

 さて、もうひとつ成分を確認しておきたいものがある。コンビニで売っている小袋入りの化粧水だ。先日旅先で、化粧水、クレンジング、洗顔料、美容液のおとまりセット1泊分で300円程度のものを購入した。化粧水だけたっぷり使ったのだが、しばらくして気が付くとなんだか顔がかゆく、鏡で見るとところどころ赤みを帯びていた。残念ながら成分表は見当たらなかったのだが、パッケージには「天然成分配合」と記してあった。これが具体的に何を指しているのかはわからないが、著者は「オーガニックコスメ」の危険性を指摘している。

 “天然”“オーガニック”というと、いかにも体に優しいイメージで安心感を抱いてしまう。だが、ヨーロッパではオーガニック認定機関なるものが存在するものの、日本にはそうした機関はなく定義が曖昧なまま「オーガニックコスメ」が販売されているという。また、1990年にカリフォルニア大で行われた実験で、化学肥料を用いないオーガニック栽培の野菜は、自分で身を守るために化学肥料を用いた野菜よりも毒性が強くなってしまうことがわかっている。このため、「オーガニックコスメ」が思うほど安心・安全なものかは怪しいというのだ。容易に「天然成分」などと記したものはますます怪しい気がする。

 それにしても、CMでばんばん宣伝する名の知れたものから店の片隅にひっそりと陳列されたものまで、世の中に存在する化粧水のなんと多いことか。いつまでも肌を美しく保ちたい女性にとっては何をどう使うべきか悩ましいところだが、成分の良し悪しを判断できたら候補をだいぶしぼることができそうだ。最終的には実際に使ってみて自分の肌と相談するしかないかもしれないが…。

文=林らいみ