起床時間の決め方にこそ大きな悪循環の原因が!あなたがいつも早起きの習慣化に失敗する理由
公開日:2016/4/13
私たちの普遍のテーマ、「早起き」。よく「早起きは三文の得」とはいうものの、その「徳」を得ることで人生はどう変わるのだろうか。早起きを習慣にして憧れの「朝型生活」を送りたいと考えては、気合いで起きるという根性論で早起きに挑戦し、3日と保たずに挫折する。極端に早く起きなくても、会社の出社時間にさえ間に合えば、その1日はなんとかなる。しかし、果たしてその「なんとかなる」を繰り返す日々の中に、自分の人生を自分でコントロールしうる主導権はあるのだろうか。
早起きを習慣化することで、「人生の主導権を自分で握ることができるようになる」と提唱するのが、『人生の主導権を取り戻す「早起き」の技術』(古川武士/大和書房)の著者、古川氏である。
あなたは、どんな理由で朝の起床時間を決めているだろうか。「朝、何時に起きていますか?」古川氏が、自身のセミナーでこう尋ねると、ある参加者は「7時半ですね」と答える。「それはなぜですか?」と続けると、「その時間に起きないと会社に間に合わないからです」と答えるという。一見普通だと思えるこの起床時間の決め方にこそ、大きな悪循環の原因が潜んでいるのだ。
自分の明確な意図で起きているのか、起きざるを得ないから起きているのかの違いは、その後の1日のリズムに大きな影響を与えます。
早起きは「目的」ではなく、充実した生活や効率的な生活を送るための「手段」にすぎない。「会社の時間に起こされている」という受け身の状態は、朝から晩まで会社の仕事や都合に振り回される悪循環を生み出す。逆に、30分でも早く自分の都合で起きれば、その1日の主導権を手にすることができるのだ。
私が支援して早起きを実現させた人の多くは、意志・根性・性格の問題ではなく、「やり方が間違っていた」「原則に反していた」という感想を語る方がほとんどです。
早起きは根性だけでは続かないということは、多くの人の失敗によって証明されている。本書では、多くの人が早起きの習慣づけに失敗し挫折する原因と、根性や意志 の強さだけに頼らない具体的な技術が紹介されている。
例えば、早起きの挫折原因として紹介されているものの中に、「早起き+αを同時にやろうとする」というものがある。仮に早起きに成功したとして、朝の時間にやってみたいこと、例えばジョギングや勉強などの目標を立てることは、一見、目標もあって成功しやすくなるように思えるのだが、実はそれも挫折しやすくなる典型的なパターンだ。
最初は、変化への抵抗力が大きいものです。徐々に小さな一歩からスタートしていくと、きちんと好循環が生まれ、いずれ早く起きるようになります。
習慣化することは、決して簡単なものではない。早起きの習慣が定着するまでの期間として古川氏が提唱する期間は、約3カ月。現在の生活習慣全体を、早起き仕様に調整することが先であり、まずは原因の解消、そして生活習慣と、一歩一歩、小さな「ベビーステップ」で進めていくことが大切なのだ。
また、早起きの技術として紹介されているもののうち、「最初は起きられなくてもいいから寝る時間を早くする」というものも興味深い。
最初の目標は「寝る時間を早める」だけでいいのです。私がコンサルティングをする際も、「まずは寝る時間を守ることができれば、起きられなくてもOK!」とします。
古川氏は本書の中で、「起きる時間は結果であり、寝る時間が原因」だと述べている。大幅に睡眠時間を削ると、日中ずっと睡魔と戦わなければならず、苦しい思いをするだけである。まずは寝る時間を早めることに集中し、たとえ結果として朝早く起きることができなくても、早寝の習慣だけは続けることが大切なのだ。
さらに、睡眠時間を削るとなると出てくるのが、「せっかく自由に使える夜の時間に早く寝るのはもったいない」問題。本書では、そんな「寝るのがもったいない」が誤解である理由が紹介されている。他にも、起きている間の仕事の要領を良くする必要性や効率性の話、夜は眠りに入りやすく、朝は起きやすくなるための方法など、早起きを習慣化する上で外せないポイントが、その根拠とともに紹介されている。
今まで幾度となく失敗を繰り返してきた「根性論での早起き」では、本当の習慣化は難しい。本書を読んで得られる、「今までの自己流のやり方では、失敗して当たり前だったのだ」という気づきこそ、早起きを習慣化する上で、「技術」ともうひとつ並んで、大切なものであるかもしれない。
挙げだしたらキリがない、朝型生活のメリット。人生の主導権を自分自身が握るために、今度こそ「早起きの習慣化」を成功させたいものだ。早起きの習慣だけでなく、人生の主導権まで手に入れてしまうという「早起きの技術」。新しい春を前に、今度こそ早起きの習慣をつけたいと誓う人には、ぜひともオススメしたい1冊だ。
文=松尾果歩