映画の世界には、「ソリッド・シチュエーション・ホラー」という1ジャンルがある。これは、限られた状況下で極限状態に追い込まれた人々を描いた作品の総称だ。代表的なものとしては、謎の立方体からの脱出劇『CUBE』や、条件付きでの生き残りを強いられる『SAW』、巨大な迷路に閉じ込められてしまう『メイズ・ランナー』などがあげられ、近年人気が急上昇しているジャンルと言えるだろう。

　そんなソリッド・シチュエーション・ホラー好きにオススメしたいマンガがある。それが『リセット・ゲーム』（吉開かんじ/GANMA！にて連載中）だ。

　本作は主人公・聖一と、幼なじみ・奈那子が不可解な密室で目を覚ますところからスタートする。そこはなにもない、簡素な壁で囲まれた一室。ふたりとも直前までの記憶を失っており、どうしてこんなところに閉じ込められているのかわからない。理不尽な状況下で、次第に募っていく苛立ち。やがて、「本当に心当たりはないの？」「俺を疑ってるのか？お前こそどうして一緒にいるんだ！」と、言い争ってしまうふたり……。こういった始まりこそ、まさにソリッド・シチュエーション・ホラーの醍醐味だ。

　そんなふたりの前に、次々と正体不明の人物が現れる。暴君のように振る舞う俺様系男子、頭でっかちな知識を披露するメガネ男子、そしてなにかを知っているであろう謎の女たち……。彼らは味方なのか、それとも敵なのか。

　そして、随所に仕掛けられているのが、死のトラップ。血に塗れた回転刃や徐々に迫り来る壁が、聖一たちの命を奪わんと襲いかかる。彼らは疑心暗鬼に苛まれつつも、力を合わせてそれらのトラップを回避していく。まさに、手に汗握る展開だ。また、脅威はそれだけではない。「建物の番人（キーパー）」と呼ばれる、不気味な存在も聖一たちを付け狙う。得体の知れない能力を持って、彼らをバラバラにしようとするのだ。

　物語が進むにつれて、読者には「裏切り者」が明示される。しかし、もちろん聖一たちはそれに気づかない。だからこそ、読者はやきもきさせられ、読む手が止められなくなってしまう。はたして、彼らは全員無事に脱出できるのか。もしくは、ひとり残らず死んでしまうのか――。

　本作は、3月23日（水）に第1巻が発売され、4月23日（土）には第2巻（ともに徳間書店）が刊行予定。2カ月連続で単行本化されるということで、注目度も急上昇している。ソリッド・シチュエーション・ホラーが好きな人は、ぜひ一度読んでみてほしい。映画に負けない興奮が、そこにはあるはずだ。

文＝五十嵐 大

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