お財布は心を映し出す鏡!クレジットカードやポイントカードは何枚まで財布に入れてOK?
公開日:2016/4/21
新入学や新社会人など、新たな人生がはじまる春は、何かとお金が必要になる季節でもある。そんなお金の整え方 について書かれているのが、マネーコンサルタント市居愛さんの著者『お金を整える』(サンマーク出版)だ。
タイトルにもある「お金を整える」とは、お金が出入りする通り道を片付け、お金の流れがよくなるように通り道を整理することである。そのため本書の冒頭は、「お金には通り道がある」からはじまる。財布や通帳といったお金と直接関わるものだけが、お金の通り道ではない。例えば冷蔵庫は食費の通り道であり、手帳は交通費や交際費の通り道である。だからこそお金がないと感じるのは、散らかった部屋と同じように、お金のまわりが散らかっていて見えないだけ。
本書では、こうしたお金の通り道をシンプルに整えるだけで、お金と心が劇的に変化することを事例とあわせて紹介している。
例えば「財布を整える」の章。クレジットカードやポイントカードは、財布に5枚だけ入れることを提案。また財布にはカードとお金の指定席を作り、守り神となる1万円札を入れ、割引券は不要な物の購入につながるため財布には入れないことまで、事細かにルール化している。
こうした行為は一見面倒に思えるが、実は「いざというときの不安を常に持ち歩く必要はありません」という一文にあるように、お金を貯める財布に不安になる要素を入れないためのものである。このようにお金に関する無駄な物や行動そのものを徹底的に整えることで、お金に対する思いと行動のすべてが変化するようになるという。
しかも驚くべきは、その効果! 財布の中に64枚のカードが入っていた人は、ポイントを貯められるようになり、支払い遅延もなくクレジットカードの信用も保持できるようになった。しかもムダ使いが多くなった時のサインまでわかるようになり、気持ちまですっきり落ち着いてきたという。まさに、お財布は心を映し出す鏡である。
このほかにも、各章では財布や通帳の他に手帳・借金・家から夫まで、具体的にどう整えるのかを紹介している。特に「通帳を整える」の章では、お金が貯まる通帳になるための7つのルールとして、かかりつけの銀行を決め、通帳1冊でお金の出入りをすべて管理し、その銀行と長年の信頼関係を築くことを提案している。
こうして「通帳を整える」だけで年間23万円以上の貯金ができ、借金を整えることで住宅ローンの借り換えにも成功。総額800万円以上の住宅ローンが減額できた事例まであるから驚きだ。
もちろん著者も、はじめからこうしたお金の整理術を身につけていたわけではない。夫の会社が倒産し、著者自らも病気のため退職をせざるを得ない状況になり、ぐちゃぐちゃの財布、残高のわからない通帳を前に途方に暮れていた。
そこで初めて「お金がない」ことばかりに意識を向けていて、「お金の通り道」に意識を向けていなかったことに気づくようになったという。だからこそ、「お金も時間も自信もなく、混乱の毎日の中で立ちすくんでいるとしたら、ぜひ、お金の通り道を整えてみてください」という一文にもつながる。
お金の節約術ではなく、物を捨てるだけの整理術でもない、お金に関するマインドそのものを変化させる一冊となるに違いない。
文=富田チヤコ