「妄想」がストレスの原因!自分を見失わない実践的「プチ修行」
公開日:2016/4/27
意欲が湧かない、連日家に帰るとぐったりする。体を酷使している訳ではないのになぜか募る疲労感。それは心がちょっとお疲れなのかも。そんなお疲れのみなさんを確実にラクにさせる、心を上手に整理するメソッドをお教えしよう。
心が疲れるのは無自覚な“反応”にあった
ストレスを感じると、様々な考えが頭によぎってくるはず。「もうこんな会社辞めよう」「むかつく」「なんでわかってくれないのだろう」…などと。
でもちょっと待ってほしい。今、「辛い」と感じるその考えはどこから湧いて出ているのか。もしかしたら、自分の妄想から来ているのかもしれない。
例えば、「新しい仕事はこういうものだと思っていた」という決めつけ。また「自分は正しい、もっと優秀、認められたい」という思い込み。そう、すべて自分の「妄想」と比べてしまうから苦しさが生まれているのだ。
自分のなかで勝手に湧き上がる「妄想」と決別すれば、ストレスのない快適な毎日になる。一番の解決策は「妄想に反応せず、正しい考え方を持つこと」。そう教えてくれるのは、僧侶の草薙龍瞬氏だ。
草薙氏は、東大法学部を卒業後、政策シンクタンクなどで勤務経験のある異例の僧侶。昨年7月に発売した『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』(KADOKAWA)が、発売するや否や5万部のベストセラーとなり、この度、より実践的な思考の本を上梓。それが『これも修行のうち。 実践!あらゆる悩みに「反応しない」生活』(KADOKAWA)である。
プチ修行でストレスをリセット
では心が疲れない「妄想」がない考え方とはなにか。それは2500年の歴史を持つ仏教の教えのなかにあった。
「宗教? 根性論か」そう思ったあなた、ちょっと待ってほしい。仏教は確かに信仰のひとつだが、「究極のメンタルヘルス術」であり「心のトレーニング法」ということを知っていただろうか。
草薙氏いわく「考え方には道筋(フォーマット)がある」という。そのフォーマットに沿って考えれば、辛さや悲しみを解消できる。そしてそのフォーマットを考えた人は、誰であろう2500年前に誕生したブッダなのだ。
ブッダの大発見は、心には5つの種類があるということだ。
1.感覚 2 .感情 3 .思考 4.意欲 5.意識
そして心が疲れたとき、意識を向ける先を1~4のどれかに切り替えることで、不快な反応をリセットできるというのだ。本書では、ストレスから心を切り替える、50のプチ修行を紹介している。
例えば自宅で「滝行」ならぬ「シャワー行」。別に冷水でなくてもいい。ただ温水が肌に当たる「感覚」、そこに集中すること。すると自分が捕らわれている「妄想」と決別できるはずだ。
本書では、始業前30秒でできる「座禅」。通勤中にできる「電車禅」「外歩き禅」など、手軽にできるストレス解決メソッドを「プチ修行」として紹介している。
どんなときも「言葉(考え)」を変えればどうにかなる
しかし、「今すぐ辞表を出したい!」「バックレてやる!」そんな衝動にかられて、修行どころではない場面もあるだろう。そのときは、この本の要である2つの考えをすぐに思い浮かべ得て欲しい。
「どんなときも方法がある」(だからなんとかなる)
「使う言葉を変えれば考え方が変わる」
自分に仕事が合わない、もう耐えられない。こんな考え方は、ものごとに「つい反応している妄想」と先ほど述べた。つまり「考え方」を変えれば、新たな視野や解決方も見つかる。そして「考え」とは「言葉」によって形づけられる。ピンチのとき、心が不安でいっぱいのとき、この2つを思い出して欲しい。
本書では動揺しがちな状況で、どんな考えをすればいいのかも紹介している。
○病気で仕事を休むことになったとき
<Before> 病気になってしまった。迷惑をかけて申し訳ない。居場所がなくなるのでは。こんな時期に病気だなんて、ついてない……。
↓
<After> ありがたい、これで休める。この機会に溜まった疲れを取ろう。昔の友だちに電話してみよう。とことん休んで、回復したらまた頑張ろう。○人と別れた・フラれた・裏切られたとき
<Before> ひどい。ショックだ。淋しい。悲しい。戻ってきて。裏切られた。恩を仇で返された。許せない。仕返ししてやる……。
↓
<After> 悲しい・淋しい。でも仕方がない。出会い・関わり自体が授かりもの。それがリセットされて元に戻ったということ。ここから新しく作り直そう。これまでもらった時間に感謝しよう……。○お金を落とした・損したとき
<Before> しまった。損した。もっと安く買えたのに。ああ、ついてない。がっかり。あのおカネがあれば、あんなことやこんなこともできたのに……。
↓
<After> 仕方ない。誰か拾って、役に立てているだろう。お役にたちますように。寄付した(お布施した)と考えよう。落とせるくらい人からさずかっているということ、ありがたい話。また頑張ろう。
心を育てるにも時間がかかる。だから修行が必要なのだ。けれど修行とは、特別なことではなく、日々自分で行える。今すぐに悟りを開くことは無理かもしれない、けれども揺らがない平穏な心は普通のあなたにも手に入れることができる。それを知ることができただけでも希望が見えてこないだろうか。
ここでは同書のエッセンスのみしか紹介できないのが残念だ。さらに詳しく、仏教の「考え方の道筋」を体系的に知りたい人や、仏教抜きにストレスと決別したい人はぜひ手に取ってほしい。日々の出来事にムダに反応しない、ストレス・悩みを引きずらない、「総じて快!(よし)」と思える毎日の手助けになるはず。
文=武藤徉子