便秘、むくみ、五月病にも効果がある!? ちょっと具合のよくないときに食養生する一冊
公開日:2016/5/4
私は体があまり強い方ではない。したがって『ちょっと具合のよくないときのごはん 病院に行くほどじゃないけど、からだの不調を感じるときに』(石川みずえ、岩崎啓子/日東書院本社)を見つけたとき、「これだ! この本を活用すれば、もっと毎日を快適に過ごせるかもしれない!」と思って嬉しくなった。子どもの頃より私は、風邪は引きやすいし、お腹が弱い。色々と強くなりたくて、学生時代にテコンドーサークルに入ったが、テコンドーは相手を倒す競技というより、相手よりいかに早く蹴るかという競技なので、体が太くなるどころか引き締まってしまった。その結果、体重が50キロ以下、体脂肪率10%以下のポッキーのような体型を手に入れ、それと引き換えに、より風邪を引きやすくなった。女の子が私の体型をうらやむことがあるが、私としては私をうらやむ女の子の体型がうらやましい。しかしこれはテコンドーのせいではない。空手サークルに入らなかった私がアホなのだ。話がずいぶんそれた。
食事の力で治す力を引き出す
本書は、体を維持するために欠かせない食事の力で、治す力を引き出す「食養生」を目的とした一冊だ。風邪、便秘、むくみ、不眠、ストレスなど、10項目以上の体の不調に合わせて、1つの不調につき5種類以上の“食養生料理”を紹介しているのだ。本当に頼もしい。これならば、便秘が続いた日でも、同じ料理を食べ続けることなく、あらゆる料理を楽しみながら食養生できる。
むくんでしまったときの食養生
体のむくみに悩む女性は多いだろう。そもそもむくみが起こる原因は、体内に取り込んだ水をさばく力が足りなくて、体の中に水がたまってしまうせいだという。しかし、水をさばく力は人それぞれ。そこで、薬になる食材として、利尿作用のあるゴーヤがおすすめとか。さらに、ナトリウムには体内に水分をためる働きがあるので、そのナトリウムを体外に排出する働きのあるサトイモや小豆もよいらしい。それらの食材を使った「豆腐チャンプルー」「さといものねぎしお炒め煮」「小豆のポークビーンズ」などの料理が紹介されている。このように体の具合に合わせて、体調をよい方向へ導いてくれる食材や料理を提案してくれるのだ。
毎日をより健康に過ごすためのコラムも掲載
本書は食養生を提案するだけでなく、毎日をもっと健康に過ごすためのコツが書かれた「養生コラム」も掲載している。どのコラムも「ほうほう」と唸る知識ばかりで、中でも私が一番驚いて肩を落としたのが「甘いものを食べても、本当の疲れはとれない」の回だ。私自身、疲れたときは甘いものを口にする。最近は、スーパーでプリンを購入し、むさぼり食っている。しかし本書によると、
甘いものを食べて血液の中の糖が高くなると、脳に「幸せ」な気持ちにさせる物質が出るということです。その心地よさは、本当に疲れがとれているのではなく、脳が「幸せ」だとだまされている状態なのです。
ということらしい。さらに、
疲労回復にとても大切な栄養素ビタミンB1は、糖を代謝するためにもたくさん必要です。疲れをとろうと甘いものを食べると、それだけでビタミンB1が使われてしまいます。
というのだ。なんと! 疲れて甘いものを食べる行為は、本末転倒なのだそうだ! これは悲しい事実だ。我が家の冷蔵庫に眠るプリンも、これを知ればきっと悲しむだろう。世の中知らない方がいいこともあるというが、どうやらそれは本当らしい。
本書は、不眠、ストレス、イライラに効果のある食材や料理も紹介している。「なんだかやる気が…」「疲れたなぁ」と五月病に悩む方にもおすすめだ。しかし、本書のどこを探しても、私のようなアホに効く食養生はなかった。人生、少々アホである方が楽しく過ごせると聞いたことがあるが、治せるものは治したい、養生できるものは養生したいものだ。
文=いのうえゆきひろ