具体的な悩みのある・なしにかかわらず、今より少しでも現状をよくしたいと願う人は多いだろう。そのために「私に不足しているものは何か」と考え、それを手にするために「私にできることをしよう」と動き、叶わなかったときは「私は何がいけなかったのか」と思い悩む。そして気づけば疲れ果て、「私なんて幸せになれない」と落ち込んでしまう。

　そんなもどかしさを抱える私たちに向かって、温かく明るい言葉で「無理やり動こうとしないで、全部を“宇宙にお任せ”すればいいじゃない！」と語りかけるのが、Amebaの「自由人」と「癒し」部門でブログ1位にも輝いたブロガーであり、書籍『宇宙は逆さまにできている！　想像以上の恩寵を受け取る方法』（KADOKAWA）の著者、大木ゆきのさん。今回は座談会の形式で、悩める20代の女性の相談にあわせ、事前に募集したお悩み相談の一部にも答えていただいた。

【座談会参加者】
山本さん（仮名）＝27歳、会社員。気になること→「大木さんは『うまくいかない』とき、どうやって乗り越えているのでしょうか？」
高田さん（仮名）＝29歳、会社員。気になること→「苦手な人の多い部署に異動になってしまい、今から五月病が怖いです…」
三上さん（仮名）＝25歳、会社員。気になること→「いつも『人から嫌われているかも』と思い悩んでいる友達がいます」
斉藤さん（仮名）＝27歳、会社員。気になること→「嫌だなと思う人がいると、ついその人のことばかり考えてしまいます」
佐藤さん（仮名）＝25歳、学生。気になること→「ニュースで怖い事件を目にすると、頭から離れなくなってしまうんです」

埋める作業をやめて、すべてを宇宙にお任せすることで物事がうまく回りだす

――まず、座談会の前にお聞きしたいのですが、大木さんの言われる「宇宙にお任せ」とは、具体的にどのようなことですか？

大木さん：一般的に「私は何かが足りない」と思っている人って、多いですよね。もうちょっとキレイになりたいとか、もうちょっと英語を話せるようになりたいとか、もうちょっと人に優しくなりたいとか…。そういう足りないものがたくさんあって、それを埋めていくことで“私”が完成すると思ってしまう。でも真相はそうではなく、みんなそもそも必要なものはすべて持っているのに、そのことを忘れて、どこかが足りないと勘違いしているだけなんです。本来何も不足などない私が今ここにいるのに、足りないと思って余分な「埋める作業」をしている状態なんです。だから、余分な作業をすべて取り払って「私はありのままで完全だ」という真実に意識を向け、どんな自分のことも、すべて許して受け入れてしまえば、そもそも完全ですべてなるものである宇宙とひとつである自分が表に出てくる、という提案をしています。

――埋める作業をやめると、何が起こるのでしょうか？

大木さん：本来、私たちは無限の宇宙とひとつにつながっている存在なんです。だから無限の恩寵を受け取れる状態であることの方が自然なんです。特定の願いに固執してしまうということは、自分には何か足りない部分があるということに意識が向かうことであり、それは本来の姿とは違いますから、無限の恩寵が逆に受け取りづらくなるんです。でも、そもそもありのままで完全だと心から信頼していると、本来の姿に戻っているので、宇宙からの恩寵をどんどん受け取ることができる。いちいち願い事をしなくても、想像以上の嬉しい出来事がベストなタイミングで、自動的に与えられるようになるんです。

――自分はそもそもありのままで完全なのだと思っていれば、自然と幸せになれるということですか？

大木さん：自分から動くことで、何かを引き寄せようとする必要はありません。だって、宇宙という無限なるものと一つである完全な存在なんだって意識に戻ったら、わざわざお願いなんてしなくてもいくらでも恩寵が与えられて当然な状態になりますから。だから「360度どこからも恩寵よ、いらっしゃい」という態勢を取って、宇宙に対して注文をつけず、お任せすること。そうすれば物事は自然とうまく回りだします。

――その境地に達するまでには、やはり何年も必要なのでしょうか？

大木さん：みなさん、何年もかけておこなう修行なのかと思われるようですが、本気を出してやれば1～2カ月で意識が変わり、気づけば「最近、いいことが続くな」って状況になりますよ。そのためにも、最初は難しいかもしれませんが、しつこく「私はそもそもありのままで完全だ」と認めること。中途半端はダメですよ、本気で「そもそもありのままで完全だったのだ」ということに意識を向け続けてください（笑）。声に出して唱えることもお薦めしています。そうして徹底的に自分を受け入れて愛してあげて、すべてを宇宙にお任せしておけば、いろんなことが勝手にうまく回りだしますよ。

「人生最悪のとき」を乗り越えるための方法とは

山本さん：「宇宙にお任せ」していても、大木先生でも「困ったな」という事態に直面することってありますよね？　それをどうやって解決しているんですか？

大木さん：私は完全にすべてを宇宙にお任せをしているので、もし「こうじゃなければいいな」という事態が起きても、それは宇宙が「今はこういうことを体験してください」って私に与えてくれていると思うので、「困ったな」とか思うことがないんです。

山本さん：そう考えるようになったのって、何がキッカケだったんですか？

大木さん：昔は私もジタバタしていたんですよ。会社員のころ、トップが変わったことで会社ががらりと方向転換してしまってね。私は納得がいかなくて、トップに直談判したりして一人で組織と闘っていたら、ものすごいパワハラを受けたの。そのときは本当に腹が立ったし、なぜこんな目に遭わないといけないのか納得がいかなかった。でも、そのことがあったおかげで、ようやく「私はずっとこの組織で闘い続けると思っていたけれど、本当にやりたいことは違うんじゃないか？」って考え始めて。

山本さん：それで本当に進みたい道が見えたんですか？

大木さん：そう。考え続けていたら、私は「人が持っている本当の力を取り戻す手伝いがしたいんだ」と気づけたんです。それで、この苦しかった日々は、私が早く本当の道に進めるように、宇宙が体験させてくれていたのかなと思ったの。パワハラをしていた人たちも、本当の道に進めるように背中を押してくれる存在だったともいえる。それなのに私は表面的なことばかり気にして、最悪の事態だって思ってジタバタしていたんです。

山本さん：そんなふうに冷静に考えられるものなんですか…。

大木さん：時間はかかったけれど、今は“最悪の時こそチャンス”と思えるようになりましたよ。人って、そこまで追い込まれないと動けないときもあるから。最悪の事態が起こったということは、宇宙が「そっちの道じゃないよ」と教えてくれているってこと。すぐにはわからなくても、必要があって体験させられているんだと思うと、ホッとして宇宙にお任せできますよね。

高田さん：私は先日、かなりハードな部署に異動になって、みんなピリピリしていて怖いんです。5月病になりそうで、今から不安で…。正直、辞めたいなって毎日思っています。

大木さん：もしも高田さんが、そこを辞めて「絶対にこういう仕事がしたい」って思うものがあるなら、辞めてもいいと思う。でも、もし進みたい道がハッキリしていないなら、今は一生懸命にやっておいたほうが絶対にいいです。なぜなら、やがて向かうべき道の先で、その経験が役に立つと宇宙はわかっていて、あなたに経験させているから。

高田さん：嫌がらせに近いこともされて、気持ちが参っているせいか、なかなかそう考えにくいのですが…。

大木さん：精神的に参って、もう死んでしまいたいというほどの思いを抱えてしまったなら、それは宇宙の流れではないので、もちろん辞めたほうがいいんですよ。でもね、私の経験上「私はありのままで完全だ」と受け入れることができれば、物事は自然と変わっていくことが多い。苦手な人が異動になったり、急に優しくなったりね。そのためには、一度とことん自分を信じて「私はありのままで完全です」って、毎日本気で思い続けてみて。それで変わるかもしれないから。辞めると決めるのは、一度試してからでもいいと思いますよ。

――座談会の後編では、より具体的に「自分を許し、受け入れる」ために必要な考え方のヒントを教えていただこう。

文＝富永明子

＜プロフィール＞
大木ゆきの（おおきゆきの）●小学校教師、コピーライター、国家的指導者育成機関の広報を経て、スピリチュアルの世界へ。2009年初めごろから「すべての人には無限の扉があり、そこにつながれば、人生は加速する」というメッセージが降りてくるようになり、それに伴いその無限の扉を開くための法則や瞑想法なども順を追ってくるように。本当に効力があるのか自分自身を実験台に試していたところ、ラジオパーソナリティーなどさまざまな願望がトントン拍子で叶いはじめる。この方法を多くの人に伝えたいと、同じく2009年10月より「シフトスクール」というプログラムを開講。ブログ『幸せって意外にカンタン！』を立ち上げる。2014年の11月から2カ月間、インドの聖地で学び、さらにパワーアップ。モットーは「宇宙にお任せ」。何ごとも宇宙に導かれるまま、気ままに人生を楽しんでいる。現在は、大好きなブログ更新をしつつ、全国各地でワークショップを開催している。

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