知り合って間も無い相手と良好な関係を築くには? 人間関係が上手くいく心理テクニック

人間関係

公開日:2016/5/25


『相手を自在に操る ブラック心理術(日文新書)』(神岡真司/日本文芸社)

 社会で生きていく限り、人間関係というものは絶対に付いて回るものだ。長く付き合い、お互いに気心知れた相手ならまだしも、時には、新年度など周囲の人間がガラリと変わるタイミングもあるだろう。学生なら新しいクラスメイト、社会人なら新入社員と先輩社員(または新入社員同士)の関係などが挙げられるだろう。そういった色々な人間関係を潤滑にする為の心理テクニックを紹介しているのが『相手を自在に操る ブラック心理術(日文新書)』(神岡真司/日本文芸社)だ。

 会って間も無い相手と良好な関係を築く為のテクニックの1つに、ラベリング効果というものがある。これは「自分は○○をしてくれたら嬉しい」というメッセージを相手にラベリング……つまり、刷り込むテクニックだ。例えば、職場の同僚の場合「Aさんの仕事は速くて助かる」と言えば、このAさんには「速く仕事をこなせば、この人は喜んでくれる」という印象がラベリングされる。この場合のラベリング効果として期待できるのは、次回以降Aさんはあなたからの頼みを優先的に熟(こな)してくれるという状況だ。

 人間には、誰しも「認められたい」という承認欲求がある。このラベリング効果は、相手の承認欲求を利用したテクニックと言えるだろう。また、ビジネスパートナーのようにある程度気を使う相手ではなく、学校のクラスメイトなど、ただ純粋に仲良くなりたい人が相手の場合は、先述の例よりももっと単純なラベリングで構わない。例えば「字が綺麗」や「○○が上手」といった褒め言葉を駆使する事で「自分はあなたを好ましく評価している」というラベリングになる。褒められて悪い気分になる人はそうそう居ないし、上手と褒めた後に「コツを教えてほしい」などと言えば、その後の交友関係にも繋がりやすい。いずれにせよ、相手の承認欲求を満たす事がこのラベリング効果を利用する時の大きなポイントだ。

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 仲良くなりたい相手の中には、気になる異性も居るだろう。そういった相手とお近づきになる為のテクニックもある。その為のキーポイントは、相談という行動である。人間、自分が好意を持っている相手の前では、えてして緊張してしまうものだが、当然ながら緊張しているだけではアプローチは成功しない。この緊張グセを治す方法が知りたい人は多いだろうが、こればかりは「習う」より「慣れろ」の精神が重要だ。気になる異性と話す場合、話題が見つからず、それ故に余計緊張してしまう事があるが、はっきり言って特別な話題は必要無いのだ。

 例えば「○○を貸していただけませんか?」と言えば、物を借りる時と、それを返す時……合わせて2回会話の機会ができる事になる。それだけではなく、親切にしてもらう事で、相手の方にも特定の人に親切にしている自分は、相手に好意をもっているからだ――という無意識の動機づけが、相手の心の中にできていくのだ。それに、物を借りるなど簡単な頼み事をする場合はうまく話そうと意識する必要もないから、感じる緊張も少ないのではないだろうか。

 こういった簡単な頼み事をする以外には、相手に質問をしてみるという方法もある。質問といっても、好きな異性のタイプといったようなダイレクトなものではなく、例えば「毎週見ているテレビ番組はありますか」などのような本当に気軽な質問だ。これなら相手の趣味を知る事もできるし、その答え(テレビ番組を訊いた場合は「自分もその番組をよく見ます。面白いですよね」といったよう)に同調・共感する事で、自然に会話を繋げる事ができる。また、人間は自分と共通点の多い相手に好感を抱きやすいので、そういう意味でもプラスだ。物を借りる・質問をするといった事に慣れてきたら、今度は相談という行動に出てみよう。それまでの接触で培われた無意識の信頼感が、相手の「力になりたい」という心理を呼ぶ事になるのだ。相手がそんな心理を働かせてくれたなら、その相手とそういう意味でお近づきになれる日も近い……かもしれない。

文=柚兎