失恋、仕事の失敗、挫折…一瞬でやる気を引き出す「スイッチ力」のある音楽38曲!
公開日:2016/6/8
試合前など、集中力を高めるために“勝負曲”を聴くというアスリートは多く、しばしばその楽曲が話題になることがある。アスリートでなくとも、ここぞという場面や失恋の悲しみを癒したいときなどに好きな曲を聴くという人もたくさんいるだろう。5月6日に発売された『一瞬でやる気を引き出す38のスイッチソング』(文響社/斉藤迅)には、さまざまなシチュエーションに合わせて気持ちを切り替えることができる、38曲のスイッチソングを紹介している。ロックからポップス、クラシックなどジャンルを超えた楽曲を紹介し、その曲が生まれた経緯や歌詞、アーティストのエピソードが綴られている。
自分が信じることをやり遂げる! 歌姫ケイティペリー『Firework』
第2章の「大事な場面で、集中力を高める ~試験やプレゼンの大切な時→集中力をスイッチオン~」では、世界的歌姫ケイティ・ペリーの『Firework』を紹介。彼女は厳格なクリスチャンの家庭に育ち、クリスチャン音楽専門のレコード会社からデビューが決まったものの、そのアルバムは不発に終わってしまう。その後、長い下積み生活を送ることになったという。
もうすべてを諦めて実家に帰ろうとした矢先、新たなレコード会社からのオファー。長い下積みの果てのチャンス、もう思いっきりやるしかないと決意した彼女は、両親が嫌がることが分かりつつも『お酒を飲んで、思わず女の子とキスしたわ』という内容の過激な内容の曲『キス・ア・ガール』をリリース。同性愛を想起させる歌詞は、両親だけでなくレコード会社内でも賛否両論でしたが、結果大ヒットしたのでした。(中略)周りの反対に躊躇せず自分が信じることをやり遂げる。そうやって人生を切り開いたケイティの歌う『ファイヤーワーク』は、あなたの中の導火線に火をつけるかもしれません
このような、彼女がスターダムにのし上がるまでの苦悩を知ったうえで、次ページに掲載されている『Firework』の歌詞を熟読できるのが、本書の特徴。そうすることで「さぁ、あなたの中の花火に火をつけるだけ それを輝かせるだけでいいのよ 独立記念日の花火みたいに この空をあなたのものにしちゃいましょう」という、歌詞の真意に少しでも近づくことができるはず。
1日を無駄にしない! やなせたかし『アンパンマンマーチ』
また、漫画家のやなせたかし先生が作詞したアニメ『アンパンマン』のオープニング『アンパンマンマーチ』に込めた想いも紹介されている。
主題歌『アンパンマンマーチ』で彼は、何のために生まれ、何をして生きるのかと問いかけますが、これは人生の大切な命題だと語っています。(中略)目標もなく毎日を無為に過ごしていると感じる時、この曲を聴いてみてください。きっと、限られた人生の時間の中でやりたいこと、やらねばならないことに思いを馳せるきっかけとなるはずです
子供向けアニメ作品ながら、哲学的な歌詞でも知られる『アンパンマンマーチ』。なかでも「なんのために うまれて なにをして いきるのか こたえられないなんて そんなのはいやだ!」という言葉には、やなせたかし先生の命題が隠されていたのだ。
そのほか、音楽と人にまつわるさまざまなエピソードも綴られている。「様々な分野の、音楽から力をもらった人々」というコラムには、人気漫画『3月のライオン』の作者・羽海野チカ先生が、人気バンドのバンプ・オブ・チキンの楽曲を支えにして『ハチミツとクローバー』連載終了の危機を乗り切った、というエピソードを紹介。音楽が人々にもたらすパワーの大きさを垣間見ることができる。
アーティストの意外な一面や、歌詞に込めた想いを知ることができる『一瞬でやる気を引き出す38のスイッチソング』。「なんだかやる気が出ない……」なんてときは、ぜひ同書を手にとってほしい。
文=谷口京子(清談社)