習い事にお金をかけている場合じゃない! 今の貯蓄が将来の子どもの未来を助ける
公開日:2016/6/10
子どもの才能を伸ばしたいがために、習い事に年間100万円をかける家庭。有名国立大医学部を目指す息子のために、三浪を許す親。はたまた子どもが生まれてからアウトドア旅行にハマッて道具を次々と増やす夫。
子どもが成長するほどお金がかかり、悩みも尽きない…。
今ですらこんなにかかるのに、いくら備えておけばいいのだろう? しかも子どもの費用は“聖域”としてなかなか見直しづらい。「今、ケチをして子どもの未来を潰すかも」そんな気分になってしまうからだ。
だが、今こそ将来に備えるべきだ。そう訴えるのはファイナンシャルプランナーの畠中雅子氏。
不安な時代だからこそ親は先手を打ちたくなりますが、「先手は負けの手」です。
なにが「先手」かというと、小さい頃にかけすぎる“習い事”のことだ。自分の「身の丈」を知らない「今」の行動が、「将来」を狭めていることに警笛を鳴らす。
子どもの未来は無限大だが収入には限りがある
子育て世代の、住宅ローン、介護、借金、教育費…。これらお金のリアルな悩みに分かりやすく解決方を教えてくれるのは、畠中氏の新著『サヨナラ お金の不安』(主婦の友社)。この本は暮らしのアイデア投稿サイト「暮らしニスタ」の人気連載を書籍化したもの。子育てしている30代、40代のママ&パパたちから寄せられた不安、悩み、ホンネの数々に応えたもの。あなたにも当てはまる事例がきっと載っているはず。
畠中氏によると、お金の悩みの大原則は次の通りだという。
お金の不安を減らす=コントロールするには、自分の収入に合わせた行動を取ること
冒頭に上げた例は、どれも「子ども思い」の親に違いない。でも、その優しさは使いどころを間違っているかもしれない。子どもの将来に限りはないが、家計には限界があるからだ。
特に天井知らずになりがちなのが、先に出た「習い事」「塾・予備校代」である。だが子どもが小さいうちに掛けていい費用は次のとおりだ。
家計における習い事などの子ども費の適性割合は、収入の4〜5%。月収が25万円の家計なら1万〜1万2500円なので、習い事は1つか2つ。
残念ながら兄弟がいる場合は、一人ひとつの習い事が限度となってしまう。意外と少ないと思うかもしれない。けれど、生活費や将来に備えて置くべきだと畠中氏は言う。
教育費がもっともかかるのは、18歳の進学費
子どもの教育費がもっとも掛かるのは、子どもが18歳のとき。大学や短大・専門学校に進学するときである。だから「高校までの教育費は家計から」が原則。18歳までにうまく貯金ができなかった場合、「奨学金」という借金を子どもに背負わせることとなる。
社会人になっても、奨学金返済のために苦しい思いをさせるのは、本意だろうか。
でも、家計のやりくりは難しい。子どもの進学先が、私立か公立かで必要な額も変わってくる。いくら用意すればいいのか。
子どもが小さいころから児童手当に手をつけず、月々一万円程度の保険料を支払って学資保険に入っていれば18才のときに400万円貯まる
国公立の大学に進学した場合の費用はおよそ287万円。私立文系なら約386万円。私立理系なら約522万円。
毎月の児童手当は多くはないが、コツコツと積み重ねれば、私立文系の大学に進学しても焦ることはない。私立理系の視野に入れるならプラス5000円を貯蓄するのでも充分だろう。これならすぐ実践できそうだ。
マネープランが将来の貧乏を防ぐ!
「将来のいつ、どれくらいの金額が必要か?」
これは「子育て費」のみに限らないのだが、お金が貯まらない人は、“予算化”ができていないという。でも将来の金額を割り出すのは、頭がこんがらがる。そこで畠中氏のお薦めは、「マネープラン」を作ること。
大きな紙に手書きで、次のことを書くだけ。
・年数
・家族の年齢
・イベント
・その時々に掛かるお金
このマネープラン表は、やたらと新車を乗り替えたり、子どもと週末アウトドアにはまってしまった夫の説得に役立つ。マネープランで大きなお金の流れが夫婦で共有できれば、さすがに浪費家の夫も無自覚ではいられないだろう。
住宅ローン、ペット、副業、介護など。お金の悩みを抱えているのなら、ぜひ本書を参考にして欲しい。この本ではたくさんの“家計失敗あるある”を紹介している。いろいろな失敗事例が出て、分かりやすく具体的な解決方法が載っている。この本を読んで、貧乏や不安から脱出だ!
文=武藤徉子