兄に女子の影が!? 新キャラ登場で甘酸っぱさ増し増しの『兄友』第2巻
公開日:2016/6/20
甘すぎて……悶え死ぬ……っ。とジタバタしたいオトナ女子の皆さま、お待たせしました。『兄友』(赤瓦もどむ/白泉社)第2巻の発売です。
見た目はかわいく、控えめで優しい、さらには料理上手で働き者。そんな高スペック女子、結婚適齢期ならば男性が狙って逃さないでしょうが、花の女子高生にしてはやや所帯くさい。ノリがいいわけでもないし、色気もない。「恋ってそれなに、おいしいの?」状態だった残念女子高生・まいが、同じく純朴で気遣いやさんな兄の友人・西野とつきあいはじめた第1巻。小さな嫉妬やすれ違いを乗り越える、うぶな初恋のやりとりにきゅんきゅんさせられた本作、最新2巻も期待を裏切らない甘酸っぱさでございました。
つきあいはじめで、一番むずかしいのが距離感。どの程度連絡をとっていいのか、どれくらいわがままをいっていいのか、嫌われるのがこわくて、相手の迷惑を考えすぎて、身動きできなくなった経験のある人も多いでしょう。とくにまいは、もともと「恋すると人ってあんなに馬鹿になっちゃうの……?」と懐疑的。わがままな女になるのがいやで、電話ひとつ気軽にできない。相手が自分を大事にしてくれるのがわかればわかるほど、どうしていいかわからなくなる……。ああもう甘えりゃいいじゃん、でろでろに溶かされちゃえよ! と読んでる側は思いますが、そのじれったさがこの作品の魅力なんですよね。じらされればじらされるほど、提供されるデザートはより甘く感じるものですし。今回は定番のバレンタインエピソードも挿入されておりますので、ぞんぶんに堪能してください。
そして彼氏できたての女子定番の悩みといったら「彼氏と友情どっちをとるの!?」。誠実でまっすぐなまいらしい展開には、見習わねばならぬ……とこうべを垂れた次第。
女の子はね、恋をすると変わるからね……あれこれ問題は起こりますよね……。でもせっかく恋をするからには、いい方向に変わっていきたいよね、と全女子の背中を押してくれる物語でもありました。
そして2人の関係と同じくらい大注目なのが、西野の妹・秋の登場。まいの兄が、なにやら彼女といい感じ……!? と思いきや、そこはさすが専制君主の暴君、一筋縄じゃいきません。ドジな駄犬が大好物という兄と、彼に見事に調教されはじめている残念な妹・秋のやりとりは、個人的には主役の2人をさしおく勢いで楽しませていただきました。
ドS男子は人気ジャンルではありますが、必要なのはやはり“愛”。その言動がどれだけ歪んでいようと捻じれていようとかまわないけれど、愛がなければどんなにイケメンでも許せません。その点、実は生徒会長でもある兄は、あんがい博愛精神にあふれている(……と思う)。愉快ないじめっこと、みずからいじめられに躍り出る犬のゆくすえを、今後も見守っていきたいと思います。
文=立花もも
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