マザコンとは違う?! 母親と友達感覚で付き合う「ママっ子男子」が急増中!
公開日:2016/6/14
マザコンとは違う“ママっ子男子”が急増しているらしい。主に20歳前後の、いわゆるさとり世代の若者で、母親と仲が良く、一緒に買い物に行き、気軽にLINEのメッセージをやり取りするような男子。マザコンと呼ばれ敬遠されがちな、母親と非常に密接な関係を持つ男性ではなく、友達感覚のようなドライな関係を築く新たな男子像だ。母娘においては、友達のような関係もそれほど珍しくはないが、これが母息子でも見られるようになってきている。
『ママっ子男子とバブルママ 新しい親子関係が経済の起爆剤となる(PHP新書)』(原田曜平/PHP研究所)では、ママっ子男子の名付け親でもある著者が調査を行い、彼らの行動様式を探る。その結果、いくつか顕著な特徴が示された。
まず、ママっ子男子は精神的に自立している。対象となった若者のコメントから、半数以上が大切なことを決断する時に、母親に相談をして意見を参考にするが、あくまでも最終決断は自分で下すという傾向が見られた。さらに、何でも母親に相談するというわけではなく、例えば仕事や勉強のことは父親に、恋愛のことは母親に、といった風に、内容に応じて適宜アドバイスをもらうようだ。人によっては、恋愛だけではなくセックスのことも(!)母親と話すらしい。
母親と買い物に行くのもママっ子男子の特徴。思春期あたりから男の子は母親と出かけなくなり、人前で仲良くするのを恥ずかしがるようになるのだと思っていたが、現代のママっ子男子は違うようだ。そもそも、反抗期もそれほど顕著ではない。一時的に母親との関係が悪化するケースもあるが、その状態は短期間で終わる。しかも、反抗期だという認識はあっても、「母親との仲が悪い」とは考えていないという。そして、20歳前後で母親と買い物に行ったり、食事に行ったりすることに抵抗がないばかりか、むしろ楽しいイベントのひとつと捉えているようだ。
では、ママっ子男子の母親とは、どんな人たちなのだろうか? 世代では、バブル世代が中心となっている。著者は、主に20歳そこそこでバブル景気を経験したバブル世代は、何でもできるという万能感を持ち続けていると分析。それが子どもへの接し方に表れると述べている。そして、子どもの可能性を信じて、本人の希望することを全力で応援するのだ。
さらに、バブル世代は遊びも得意だと著者は指摘する。確かに、バブル景気のエピソードを聞くと、今では想像できないような華やかな状況だったことが分かる。全員がその恩恵を受けたわけではないにしても、派手な生活を経験した人は少なくないだろう。そんなバブル世代は、さとり世代の若者にとっては遊びの師匠となるのだ。
他にも特徴的なのは、母親の子どもへの依存が減ってきているということ。本書では、時代とともに主婦像が変化してきたことが理由であると分析されている。かつては専業主婦が多く、自分の時間を楽しむというよりは、家族のために時間を使っていた。そうなると、自然と関心は子どもに向き、子どもに依存してしまう母親もいた。一方で、バブル世代の母親たちは、今は働いていなくても、かつてバリバリ働いていた女性も多く、子育て以外の楽しみを持っている人が多いのだ。
今回ご紹介したのは、本書で触れられているママっ子男子の概要のごく一部。本書は、彼らと母親とのLINEの実際のやり取りが掲載されていたり、様々なコメントが紹介されていたりと、非常に具体的で分かりやすい内容となっている。この母息子関係からの消費拡大の可能性も示唆されており、新たなビジネスのヒントも見つかるかもしれない。幅広い方にオススメしたい一冊だ。
文=松澤友子