オクトーバーフェスト、ハロウィンを流行らせたのは誰? 楽しく騒いで市場を動かす「パリピ」の実態【原田曜平インタビュー 前編】

社会

公開日:2016/6/15


『パリピ経済 パーティーピープルが市場を動かす(新潮新書)』(原田曜平/新潮社)

 ここ2、3年、10月後半になるといつも思うことがある。それは「いつから日本はこんなに、ハロウィンでバカ騒ぎするようになったの?」ということだ。

 確かに以前から、ディズニープリンセスな女子や着ぐるみ男子などは見かけていたが、それはほとんどがお子様だった。しかし今は大きなお友達がセーラー戦士だのレリゴーだの、はたまたスーパーマリオだののコスプレをして町中で大騒ぎ。やかましいったらありゃしない! とニガニガしく思っていたけど、日本記念日協会・記念日文化研究所によると2015年のハロウィンの市場規模は約1220億円で、これは2014年のバレンタインデー市場規模の1080億円を上回っているそうだ。しかも11年のハロウィン市場規模は560億円だったので、4年で倍以上になっている。ハ、ハロウィンおそるべし……! インドア派にはただやかましいハロウィンだけど、今や立派な国民的イベントになったと言えるのかもしれない。しかしどこの誰が、ハロウィンをこんなに流行らせたか?

 その答えは「パリピ」だと、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーで『パリピ経済 パーティーピープルが市場を動かす(新潮新書)』(新潮社)著者の、原田曜平さんが教えてくれた。パ、パリピ? パリティビットのことじゃないよね?

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「パリピとはパーティーピープル(パーリーピーポー)のことで、パーティーやクラブイベントのような、にぎやかでキラキラした集まりに参加して騒ぐのが大好きな若者です。ハロウィンだけではなくセルカ棒やオクトーバーフェスト、ラブホ女子会なども実は彼らが流行らせました」

 どうやら都会に住む流行りものに詳しい若者のことのようだけど、原田さんによると、こんな特徴があるそうだ。

・大規模イベントや野外フェス、クラブが大好き
・友達数が多く、SNSを積極的に利用する
・喫煙率が高い傾向にある
・外国人とのコミュニケーションを好む人が多い
・肌の露出が多い、セクシーな服を好む(特に女性)
・楽しむためにはお金、時間、労力を惜しまない
・ノリがとてもよく、フットワークが軽い
・生活満足度が高い
・家が裕福な人が多い

 そして今までの時代の「ナウなヤング」と違うのは、彼らがSNSを駆使していること。それもTwitterやFacebookよりも、まずは画像で見せるInstagramの比重が大きいそうだ。

「彼らは友人の数が多く、参加・体験して面白かったイベントや盛り上がった飲み会や旅行などを、SNSにたくさんアップします。また気になる情報があればとにかく拡散し、ファボり(お気に入りに入れること)、フォロアーにシェアします。Instagramを愛用する傾向があるのは、Facebookだと実名なので、あまり情報を更新できないからです。中学や高校時代の友人など、今は疎遠の友人とも繋がっている可能性があるので、頻繁に更新すると『こいつうぜえな』と思われてしまう(笑)。なので、見せたい・知らせたいことがあるときはインスタ、連絡網はフェイスブックと、切り分けて使っている子も多くいます」

 原田さんがパリピに注目したきっかけは、とある企業から相談を持ち掛けられたことだった。若いユーザーが減少しているその企業の商品を、「今どんな人が使っていれば『逆にクール』に見えるのか。その人たちのことを知りたい」と依頼され、全国各地を調査した結果、パリピの存在に気づいたという。地元で影響力を持つ「マイルドヤンキー」たちが影響を受けていたのが、遊びに行った東京のクラブで出会ったパリピたちだったのだ。

 ではパリピが流行を生み出しているのかというと、実はそうでもないらしい。それは一体誰なのか? 続きは後編で!

取材・文=玖保樹 鈴