2024年までに多くの会社が死ぬ!? このまま会社に居続けていいの…と考えるあなたへ。未来から選ばれるキャリアのつくり方とは?
公開日:2016/6/16
いつものように朝起きて、電車に乗って会社に行く。いやだなあ、休みたいなあ…。車内の人材紹介会社の広告が目に入る。はあ、このまま今の会社に居続けていいのだろうか? 明らかな過重労働やパワハラで、今すぐ辞めるべき!というほどでもないけれど、いつまで今の環境で仕事をしていいものか、またはできるものなのか、漠然と不安になる。このような気持ちは、会社勤めをする身ならだれしも抱えるものではないだろうか。
今年2016年から、キャリアコンサルティング職が厚生労働省の下、国家資格化され、特定機関の試験を受けなければ「キャリアコンサルタント」を名乗れなくなる。国家認定の資格が誕生するほど、キャリアの築き方が多様化しているということか。たしかに、新卒で入った会社に定年までいるという働き方は、もはや古くなりつつある、いや、希望してもできないものになっている。だれもが知っている大手の銀行や商社に入社した人からも、子会社への出向、転出の話は当たり前のように聞こえてくるし、外食チェーンやアパレル関連企業などでは、社員の平均年齢が明らかに若く、長く働けない環境がうかがえる。
では、先の見えない未来にどう対処すればよいのか、『未来から選ばれる働き方 「会社がなくなる時代」のキャリア革命』(神田昌典・若山陽一/PHP研究所)を手にとってみた。著者のひとり神田氏は、経営コンサルタントとして活躍する日本のトップマーケター。もうひとりの若山氏は、自らが立ち上げた人材派遣会社の社長兼CEO。二人は、日本の未来予測を、「多くの会社は、2024年頃までに、いったん死にます」と大胆に述べる。その理由は、「インターネット情報革命の結果、会社の内で価値が生まれるのではなく、会社の外で価値が生まれるようになったから」だという。
「いったん死にます」とは恐ろしいが、簡単な言葉にしてみよう。
(1)ビジネスは、全世界の人材、資金、知識、技術を使って、短期間に商品価値を創り上げるものとなった。
(2)だから、社内の人、金、技術だけでまわっている会社は動きの遅さや商品価値の低評価で低収益になる。
(3)そして、(2)の会社に縛られている社員は、己の価値を発揮できず成長できないまま、会社とともにダウン。
では、このような時代に活躍できるのはどんな人材だというのか? 彼らのこたえは、次の3つの勇気が持てる人材だ。
1、激変する技術環境に対応し、未知なる分野に踏み出す勇気
2、暗闇のなかでも、輝かしい未来ビジョンを描き、一人からでも声をあげる勇気
3、自分と共振するビジョンを持つ組織を見分け、その組織とともに成長していく勇気
なんだかハードルが高そうと落ち込むなかれ。学歴や肩書き、実績よりも「やってやるぞ」というシンプルな勇気が一番大事だという。だからといって、精神論だけを述べているのではない。安定してこの勇気を維持し続けるために、著者の二人は、磨くべき具体的能力を示している。それは、「内面と外面のズレをなくし、常に、それらを一致させていく知性」、コネクティング・インテリジェンスと呼ばれるものだ。
具体的に説明しよう。「本音(内面)と建前(外面)のズレをなくす」とは、つまり、感情的にはやりたくない仕事だけれども理屈ではやらなければならないという状況を減らすということだ。それには、自分の目指す人生の理想と、会社の掲げるビジョンが一致していた方がいいし、実際に日々行う業務と、組織のリーダーの意図が一致していた方がいい。これらの一致を常に意識することで、コネクティング・インテリジェンスは磨かれていくという。
彼らの提案は、すぐに転職しろとか、まわりの人間を変えろというのではなく、まずは自分の意識を変えるという、だれにでもすぐに始められることが特長。例えば、上役から自分とはまったく関係のない書類のコピー取りを頼まれたときも、「自分でやれよ」と憤慨せずに、マル秘の書類が見られるチャンスと捉え、それを密かにじっくり眺めてみる。無料で、上に立つ者の視点を身に付けることができるかもしれない。
自分で自分の理想が目指せて、自由にその階段をつくっていけるということは、人によっては、とても楽しい時代だろう。そんな簡単にポジティブになれるか!という人でも、まずは、自分の“厳しい時代のかわいそうな一員”という意識を手放すことから始めてみるのはどうだろうか。どうにもならないと思われる日でも、成長や理想への小さな一歩になるかもしれないのだから。やはり、人生何が起こるかわかりません!
文=奥みんす