また埼玉県がディスられ被害!? SNSで大流行した47都道府県“地元民あるある”地図

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更新日:2016/7/15


『よくわかる都道府県(宝島SUGOI文庫)』(日本博識研究所/宝島社)

 日本には47都道府県ある。その1つ1つの地域に対して、読者はどのようなイメージをお持ちだろうか。…ふむふむ。聞こえる。聞こえてくる。関西の、特に大阪の悪口が聞こえてくる。それだけではない。 「グンマー」「四国って、どこに何県があるの?」など、あらゆる声が聞こえてくる。私の性格が悪いのか、どうも悪口しか聞こえてこないのはさておき、このようにネット上で、日本各地の地域事情を地図に表して投稿するのが流行ったことがある。あまつさえ、同じような企画がテレビで放送され、「大阪人はケチだ」「大阪のおばちゃんの生態とは?」「大阪の新世界がイカレている」など、隠しようもない真実が放送され…いやいや、誤解を生むような情報が流されている。日本国民はもっとお互いの地域性を認め、褒め合うべきだ。そう憤りながら、私は『よくわかる都道府県(宝島SUGOI文庫)』(日本博識研究所/宝島社)をネットで注文した。

埼玉県はこんな感じ

 本書は、ネット上にある「地元事情を表した地図」を拾い集め、要素をチョイスして再構成し、地元事情を表す日本地図の完全保存版を目指したものだ。表紙には、埼玉県の本書独自の地図が載っている。このような地図があと46都道府県ある。埼玉県民の方は購入をためらうであろうが、安心してほしい。個人的な感想でいえば、島根県の方がひどかった。ブラックジョークは大概にするべきだ。もちろん島根県民の方も安心してほしい。本書で何と書かれようが、大阪の悪いイメージは永遠に変わらない。さて、表紙の埼玉県の独自地図に戻ろう。本書の詳しい解説によると「本当の秘境」と書かれた地域は「県民すら、この地域の市名を認識しているものは少ない」とある。そして「砂漠」と書かれた地域は「夏は県内一暑く、冬は県内一寒い。砂漠気候と思われる」とある。これはひどい。さらに地図通りに意味をくみ取れば、埼玉県は内部に植民地と王国とスラムを有し、なぜか東京都民が存在し、群馬県と千葉県で領土問題を起こしていることが分かる。本書を埼玉県の県庁職員に読ませたら、泡を吹いてひっくり返るに違いない。

 この調子で、残りの46都道府県の悪口が…いや、地域情報を表した地図と解説が載っている。本書はあくまで、ネットに上がっていたいものを主にチョイスしているので、「真偽は置いて楽しもう」というスタンスで読むのが正しい。間違っても「私の地元はどんなことが書かれているのかな?」とワクワクしながら開いてはいけないのだ。読者としては、そろそろ大阪の悪口を聞きたいところであろう。しかし私は書かない。というより、怒り狂ってページを引きちぎったので書けないのだ。私は関西出身だ。だから、他の関西地域のページも丁寧にちぎり、細かく刻んでトイレに流した。反対に、東京と神奈川は大っ嫌いなので、ページに付せんを貼って、いつでも開けるようにしている。

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 本書に載っている情報は強烈だが、その代わり今まで誰も関心のなかった地域に目が向くきっかけになるかもしれない。大学生や社会人の方々は、新しく出会う人との会話のきっかけに使うこともできるだろう。だが、奈良県を「京都の下位互換」、徳島県を「踊るアホウ」、岐阜県を「名古屋県」と揶揄するのは乱暴すぎる気もする。

文=いのうえゆきひろ