【対談連載/第4回】蒼井ブルー×紗倉まな 蒼井ブルーによる紗倉まな撮りおろしストリートスナップも!
公開日:2016/7/4
原稿をバッサリ切られると、気持ちいい!(紗倉)
紗倉:本になった瞬間に、達成感と喪失感と、両方来ませんか?
蒼井:僕は「校了」って言葉が大好きなんで、喪失感は一切ないです(笑)。「やったー! 終わったー!!」って。物語を書くのって、書いてる自分も物語の中にいるというか、物語の世界に入る感覚があるからじゃないですか? この世界から離れたくない、終わりたくない、抜けたくない、みたいな。
紗倉:そうかも! すごい。蒼井さん、言葉にするのが上手です。
蒼井:まなさんは、書くことが本当に好きなんでしょうね……。
紗倉:私、食べることと書くことと寝ることしか楽しみがないんですよ。えっ、蒼井さんは?
蒼井:僕ね、担当編集を前にしてあれなんですけど……原稿が嫌で嫌で!
一同:(笑)
蒼井:ツイッターで自分の考えを書くぶんには何も問題ないんですよ。でも、この2冊(『僕の隣で勝手に幸せになってください』『NAKUNA』)ってツイッターからまとめた文が軸としてありつつ、写真とかエッセイとか新しく作ったものを足して本にしてるんですね。エッセイってほんと大変です。できあがったものは自分でも大好きなんですけど、書いてる時は苦痛で苦痛で……(笑)。考え過ぎちゃって、「そもそもエッセイって何?」ってなるんですよ。
紗倉:考えちゃうとわからなくなりますよね。ただ普通に書けばいいんだけど、「小説ってどういうものだっけ?」とか考え始めると、私もピタッと止まっちゃうことはあります。
蒼井:そうなんですよ! たぶん編集からしたら「そんなことで悩んでるんですか?」みたいなことも、僕からしたら大きくて。妙に完璧主義みたいなところもあって、書いては消し書いては消ししているうちに、正解がなにかわからなくなってきちゃって。で、納期が迫ってきて「僕ってなんなんだろう?」とか「人はどこからやってきて、どこへいくんだろう」みたいに別の世界へ行ってしまう(笑)。
一同:(笑)
蒼井:一時期どうしても上手くいかなくて、編集に弱音を吐いたら「自分で原稿の良し悪しを決めないでください」って言われてちょっとラクになりました。「一緒に作りましょう!」って。本っていうものを、わかってなかったんですよね。ヘンに背負い過ぎちゃって、自分ひとりで作るものだと思っていた。
紗倉:めちゃくちゃわかります。特に1冊目なんて、何もわからないじゃないですか。2冊目のほうが書きやすかったんじゃないですか?
蒼井:それはありましたね。何を作ればいいのかよくわからない怖さみたいなのは、2冊目の時はなかったんで。そういう意味では気は楽だったんですけど、その代わりに1冊目を超えなければいけない。もっと面白いものを作らなければいけない、というプレッシャーが新たに生まれて。
紗倉:苦しみ方がまた違う。1冊目は手探りの部分があり、2冊目はさらに上回らなきゃいけないというプレッシャーがありと、どんどん課題が変わっていく。私も今、そうなんですよ。
蒼井:あっ、2冊目書いてるんですね!
紗倉:編集さんに、いっぱいダメ出しされてるところです(笑)。1カ月おきぐらいで書いたぶんを渡しているんですけど、原稿を読んでもらって「ここは必要ないですね」ってバッサリ切られると、気持ちいいなって思います。
蒼井:いい人ですね! 僕だったら、「いやいやいや、ここは要りますって!」ってなりますよ。苦労して、時間かけて書いたのに。
紗倉:自分が信頼している人にダメって言われたら、「そっか、ダメなんだな」って思えるんですよ。信頼していない人に言われたら、意固地になるんですけど。
蒼井:ああ、何を言われるかよりも、誰に言われたかっていうほうが大事みたいなことってありますもんね。
紗倉:ほんとにそうなんです! やっぱりすごい。蒼井さん、まとめるのが上手い!!
蒼井:あっ! 今思いましたけど、僕、まとめるの好きかもしれないです(笑)。逆に、広げるっていうのが苦手です。だから、小説を書けるのってすごいなあと思うんですよ。
取材・文=吉田大助
最終第5回は7月5日(火)午前11時更新!
第1回→https://develop.ddnavi.com/news/308917/
(プロフィール)
蒼井ブルー(あおい・ぶるー)●大阪府出身。きゃりーぱみゅぱみゅをはじめ、原宿のファッションアイコンを起用して行ったストリートスナップが話題を呼び、カメラマンに。ファッション系人物撮影をメインに広告、誌面、ウェブなど幅広いシーンで活躍中。日常を独特なタッチで綴るTwitterでは16万近いフォロワーを抱えるなど、発言にも注目が集まる。
(プロフィール)
紗倉まな(さくら・まな)●1993年3月23日、千葉県生まれ。工業高等専門学校在学中の2012年にSODクリエイトの専属女優としてAVデビュー。2015年にはスカパー! アダルト放送大賞で史上初の三冠を達成する。テレビ出演や雑誌の表紙グラビアなどでも活躍し、『週刊プレイボーイ』(集英社)、『messy』(サイゾー)でコラムを連載中。著書に『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』(宝島社)がある。