92歳母親の介護、脳溢血で半身不随と言語障がい…車いすの落語家・林家かん平のドキュメント映画が遂に完成!

映画

更新日:2016/7/1

 今、話題沸騰の落語界にこんな噺家がいるのをご存知?

 1990年に師匠林家三平(先代)の追善興行の打ち上げの席で脳溢血で倒れ、右半身不随と落語家の命ともいえる言語に障がいが残った林家かん平。3年に及ぶ入院生活の中で、決して明るさを失わず厳しいリハビリに耐えながら高座復帰を果たすも、25年の歳月は、いくらリハビリに励んでいても体力気力の衰えは隠しようがなく、高座も座布団から車いすに変わり、得意としていた古典落語も思うようにしゃべれなくなってきた。

 それでも噺家を続けたい…そんなある日、朝のテレビドラマを見ていた彼は劇中の主人公が言った台詞に強く胸を打たれることに。

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「頑張っていれば、きっと神様がご褒美をくれる」

 以来、落ち込むたびにこの言葉を思い浮かべて一念発起。

 老いと病いという現実に立ち向かいながら、それがどんなにハードルが高くても頑張ろう…そして彼は得意の古典落語から新作落語に挑戦するという人生最大の決意をした!

 同居する母への老老介護を続けながらたくさんの仲間たちの暖かい励ましの中で、自らの体験を創作落語として笑いとともに蘇らせ、それを高座で披露したい!

 そんな気持ちを受け止めたのが、倒れる前から無類の映画好きだったかん平師匠を良く知る映画界の友人。

「かん平師匠がいったいどんな風に頑張るのか、その日々を映像で追ってみたい。一つの言葉を信じて一生懸命頑張る生き様は、同じような障害を持った人ばかりではなく、今日多くの老後の社会に不安を抱いている団塊の世代の人々にもきっと生きる指標になるのではないか」

 こうして2015年春から丸一年間、かん平師匠の姿をカメラが追うこととなった。

 学生時代の仲間たちを集めての試演会では新作に対する厳しい意見にへこむかと思うやむしろやる気を掻き立てられ、落語界の仲間たちが集まる浅草演芸ホールでは勇気づけられながら高座を見事にこなし、過酷なリハビリに果敢に挑み、自ら車いすに乗りながら92歳になる寝たきりの母親の介護をする…。

 障がい者が同情される世の中じゃなく、自ら率先して表に出ることで自分も周りもこんなに元気になるということを体現する、バイタリティあふれる稀有の噺家林家かん平師匠の姿には明日への希望が満ち溢れている。

 さあ、障がい者も健常者も元気をもらおう!

<9月3日(土)より角川シネマ新宿ほか全国で順次公開される>
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