ピクシブ発の人気作累計10万部突破!! 「気持ち悪い」なじられてはじまる女子高生とのラブストーリー!?
公開日:2016/7/4
ピクシブ発の人気作がコミック化し、なんと累計10万部を超える大ヒットを記録しているそうだ。話題作なら読んでみようと手に取ったが、実は、「あんまりおもしろくないんじゃないかな~」という先入観があった。
『恋と呼ぶには気持ち悪い』(もぐす/一迅社)は、「気持ち悪い」となじられた女子高生に、狂信的な恋をしてしまう高スペック社会人が登場するラブコメ漫画だ。
キャラクター紹介や物語のあらすじから、「イロモノ」の内容だと思っていた。ドSとか、ドMとか、表面的なキャラクター属性をもつ登場人物が出てきて、属性推しで笑いをとり、恋愛模様を繰り広げる、うすっぺらい内容ではないかと、なんとなく、そんな風に思っていた。そういう作品を最近よく見かけていて、「おもしろくないなー」と思っていたこともあり、警戒していたというのもある。
だが、本書は違った。さすが、大勢の人に支持されているだけある。先入観でつまらないものだと決めつけたことを、深く、深く反省した。
女癖の悪い高スペックサラリーマンの天草亮(あまくさりょう)は、ある日、駅の階段で転びそうになったところを、女子高生の有馬一花(ありまいちか)に助けられる。後日、一花が妹の友人だと分かり、再会することに。そして亮は「お礼」にと、「キスする?」「それ以上のことでも俺は大丈夫」「いい記念になるんじゃない?」と、いつも女性に対して接するような言葉を一花に投げかける。
そこで、一花は一言。「気持ち悪い」。「助けてもらったお礼が自分って何考えてるんですか? 私そんなことのために助けたわけじゃありませんけど」と、はっきりと、思ったことを口にする。
それが、亮が恋に落ちた瞬間だった。駅で自分のことを助けてくれたこと、そして自分の浅はかな考えに対する、鋭く筋の通った発言に、亮は「すばらしい!」「一花さんは運命の女性だ……!」と、それ以降、熱狂的なアプローチをするようになる。
一方的に恋愛感情を爆発された一花は戸惑うばかり。激しいアタックに、ひたすら気持ち悪がる一花は、容赦なく亮を罵倒するが、亮はむしろそれさえ、喜びに変えてしまうのだ。一花に拒絶されても「嫌がる反応が最高にかわいい……」と全く動じない。
一花も、亮のことを「おかしな人」だと思っているが、その人柄や直球的な好意の寄せ方に、徐々に心を開いていく。……1巻の段階では、まだ亮の一方通行だが、今後二人がどうなっていくのか、とても気になる。続刊が待ち遠しい。
で、改めて、「なんでこの漫画はおもしろいんだろう」と考えてみた。
ハイスペック社会人と女子高生との恋愛というだけでも、関係性が萌える。しかも男性の猛アプローチに、「気持ち悪い」「変態」とかわす女子高生というのは、新鮮でおもしろい。しかしそれだけだと、内容のうすーいお話になりがちなのだ。
けれども、本書を読んでいると、恋をしたくなる。それは「私を愛してくれる人がほしい」とか、「素敵な彼氏に愛の言葉を囁かれたい」とか、そういう理由ではなく、「恋愛が人を成長させてくれる」と思えるからだ。
亮は、学生時代からの友人いわく、「今まで自分から告ったことない下半身サイテー顔だけ野郎」だったそうだ。しかし、一花に出会い、片想いしてから「変わった」のだ。本人も気づいていないようだが、それは彼自身にとっても、周囲にとっても、喜びのある成長だった。
人を好きになったことがきっかけで、変わっていく成人男性。そして、その変化をもたらしたのが、高校生の女の子。この二人の関係、なんてステキなんだろう。加えて、笑えて胸キュンもあるとは。10万部突破も頷ける。ちょっと変わった恋愛ストーリーが読みたい人に、今一番オススメの漫画だ。
文=雨野裾