一人で書いてもつまらない!? 家族と一緒に楽しく気軽に書ける「自分史」ブック

暮らし

公開日:2016/7/7


『孫と一緒につくる「自分史」ブック』(昭和倶楽部・藤田武司:編著/三五館)

 今、自分史がひそかなブームになってきていますが「自分史を書きましょう」と聞いて多くの人がまず思うことは「文才がないからムリムリ!」「そんな昔のこと忘れちゃったよ」といったようなことはないでしょうか。また、自分史を書いてみようと思っても、一人で書いていくのもなんとなく心細さもあり簡単なことではないでしょう。その解決方法の一つが、祖父母と孫が一問一答しながら生きてきた軌跡を思い出していくというもので、それが結果的に自分史につながる というもの。そういった新しい解決方法を考案し、書籍化したものが『孫と一緒につくる「自分史」ブック』(昭和倶楽部・藤田武司:編著/三五館)です。

 藤田氏は、ある日、奥さんから「これ書いておいてね」と、財産分与や葬儀の手配などのことを書くエンディングノートを手渡されます。その時、そのノートは確かに実用的ではあったものの、自分の生きた標(しるし)がそこにはないことに気づくのです。それが、著者が自分史を書こうと思ったきっかけでしたが、誰しも、自分の人生の証を残したい、自分がどんな人生を生きてきたのかを知ってほしいという気持ちはあるのではないでしょうか。

 本書は、おじいちゃんおばあちゃんがお孫さん(ご家族の方なら誰でも)からの質問形式で自分の人生を振り返っていくという新しいカタチの自分史づくりを提案しています。最近は、スマホやゲームの普及で、家族間のコミュニケーションが薄くなっているといわれています。祖父母とお孫さんの会話に、他の家族も興味を持って話に入ってくるでしょう。この本はコミュニケーションツールとしての役目も果たし、家族が一つ につながる 貴重な時間を与えてくれる素敵な1冊なのです。

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《質問の例》

幼少期
・幼い頃はどちらでお暮らしでしたか? それは、どんな町、どんな村でしたか?
・その頃、どんなヘアースタイルでしたか?
・幼稚園から小学校の低学年の頃 、いちばん悲しかった出来事はなんですか? など…。

学童期
・どこの小学校に入学しましたか? その学校は、そのとき、どんな様子でしたか?
・どこかに秘密基地を作ったことがありますか?
・憧れのヒーロー、ヒロインは誰でしたか? など…。

青春期
・修学旅行はどこへ行きましたか?
・学生時代に観た外国映画で忘れられない作品は?
・深夜放送で聴き逃せなかったのは? など…。

練成期
・就職先や志望校はどんな理由で選びましたか?
・初めてのデートはどこへ、誰と行ったのですか?
・大学生や社会人になったときの気持ちはどんなものでしたか? など…。

自立期
・就職の前後、何か免許や資格を獲得しましたか?
・結婚を決意した大きな理由はなんですか?
・子どもが誕生して親になったとき、どんな気持ちになりましたか? など…。

結実期
・少し仕事に慣れてきた頃 、自分でも一人前になったような気分にひたったことは?
・働き過ぎて病気になったりしませんでしたか?
・家族でよく行ったのは、どんな所? など…。

 本書は、こういった質問と並行して時代背景がわかるように構成されています。金太郎や桃太郎などのおとぎ話の歌の紹介や、昔懐かしい駄菓子、ベーゴマやメンコなどのおもちゃの写真のページは、見ているだけでも幼少時代の日々の記憶が蘇ってきます。さらにページをめくると、昔の映画スターやテレビで活躍していた芸能人の写真、そして、三種の神器といわれ た電気洗濯機、白黒テレビ、冷蔵庫の出現などの昭和の時代背景と共に現在へと進んでいきます。どんどん技術が進歩し、便利になっていく時代を懐かしく思い出しながらワクワクしてくることでしょう。その興奮を、そのまま孫や家族に話しながら、質問の答えをこの本に書き込んでいくことで、いつのまにかりっぱな自分史が出来上がっていきます。この本は、家族と楽しく語り合いながら、同時に自分の人生の軌跡を振り返り、これからの人生をさらに良いものにしていくためのツールとなるでしょう。

文=Ritsuko