親や配偶者の「平穏死」を受け入れるためには?

社会

公開日:2016/7/11

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 愛する人の見送り方や看取り方について書かれた『「平穏死」を受け入れるレッスン 自分はしてほしくないのに、なぜ親に延命治療をするのですか?』が、2016年7月4日(月)に発売された。

 「いつまでも生きていてほしい」、けれども、「できるだけ楽に逝かせてあげたい」…。悩み苦しむ家族のジレンマに医師である著者はこう答える。「老衰による死に苦痛は伴わないことが科学で証明された。メカニズムを正しく知ることで死の恐怖は和らぐ」「介護士や医師、関係者と繰り返し話し合って、悩んだことこそが、家族の心を癒してくれる」「自然に逆らわない老衰死を迎えた人の死に顔は、まるで仏さまのように穏やかで美しい」と。

 2010年に著者が提唱して以来、自然な老衰死のあり方とその穏やかな看取りとして「平穏死」の考え方が徐々に浸透してきた。胃ろうをつけた寝たきりの人も、この6年で60万人から20万人に減った。しかし現在でも、無理な延命治療によって穏やかな老衰死が妨げられてしまう実情がある。それは皮肉にも家族の「情念」が大きな要因なのだ。

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 多くの人が、「自分の終末期には無理な延命をしないでほしい」と望んでいる。しかし自分の親が年老い、老衰や病気になると、本人にとって苦しみでしかないと頭ではわかっていながら、医師の勧めに従い延命措置を受け入れてしまうことも多い。自然の摂理としての死が、家族にとって「悲劇」という受難になってしまうのだ。

 親や配偶者との別離は悲しい。家族が悩み、迷うことは当然だ。しかし、「命より大切なものはない」という考えにとらわれてしまうと、当人の尊厳が失われてしまう。延命治療を決断した家族自身も、また苦しんでいる。同書では、親や配偶者の死と向き合う家族の声に耳を傾け続けてきた著者が、悩み苦しむ家族に向けて、大切な人を幸せに見送る心の持ちようや看取り方を提示している。

■『「平穏死」を受け入れるレッスン 自分はしてほしくないのに、なぜ親に延命治療をするのですか?
著:石飛幸三
価格:900円(+税)
発売日:2016年7月4日(月)
出版社:誠文堂新光社

石飛幸三(いしとび・こうぞう)
特別養護老人ホーム・芦花ホーム常勤医。1935年広島県生まれ。61年慶應義塾大学医学部卒業。同大学外科学教室に入局後、ドイツのフェルディナント・ザウアーブルッフ記念病院、東京都済生会中央病院にて血管外科医として勤務する一方、慶應義塾大学医学部兼任講師として血管外傷を講義。東京都済生会中央病院副院長を経て、2005年12月より現職。著書に『「平穏死」のすすめ 口から食べられなくなったらどうしますか?』『「平穏死」という選択』『こうして死ねたら悔いはない』『家族と迎える「平穏死」 「看取り」で迷ったとき、大切にしたい6つのこと』などがある。

※掲載内容は変更になることがあります。