【大人の言葉力講座】周囲に一目置かれる5つの大人フレーズ(頼む編)
公開日:2016/7/14
あなたの印象や評価を左右するのは、結局のところ「言葉」です。いや、見かけも少しは関係しますけど、とくに仕事においてはその比率はたいしたことはありません。どんな状況でどんな言葉を選ぶかによって、ちゃんとした大人かどうかが判断されると言っていいでしょう。
逆に言えば、まずは大人としての言葉の使い方をマスターすれば、中身の至らなさをある程度はカバーできます。中身に磨きをかけるのは容易ではありませんが、言葉に磨きをかけることはそれほど難しくはありません。とりあえず「大人の言葉力」を鍛えることで、周囲の目だけでなく自分自身の意識も変わるという一面もあります。
そう言えば先月末に、大人の言葉力の向上に焦点を絞った本が出ました。タイトルは『大人の言葉の選び方』(日本文芸社、918円)。「すぐに実践したくなる“デキる言葉”500フレーズ」を取り上げ、どんな場面でどう使えばいいかを具体的に解説しています。実用的なのはもちろん、読んで楽しいのもこの本の特色。まさに21世紀のビジネスパーソン必携の一冊と言っても過言ではありません。
ここでは本書の中から、仕事などで何かを「頼む」ときに使いたい5つの大人フレーズをご紹介しましょう。どんなに大胆に参考にしても、たっぷり引用しても、ぜんぜん大丈夫です。何を隠そう、私が書いた本なので……。
周囲に一目置かれる5つの大人フレーズ(頼む編)
その1「お骨折りをお願いできないでしょうか」
その2「お膝送りをお願いいたします」
その3「○○さんにやってもらえたら仕事も喜ぶと思います」
その4「どうかご斟酌ください」
その5「要望ばかりで本当に申し訳ないのですが」
その1「お骨折りをお願いできないでしょうか」
相手を立てつつ頼むフレーズのひとつ。目上の相手にひと肌脱いでもらいたいときや、受け取りようによっては「パシリ」的な用事を頼みたいときに使いましょう。上司に得意先への「最後のひと押し」を依頼するときにも便利。「お骨折りいただいて、ありがとうございます」と、お礼を言う場面で使うと、申し訳なく思っている気配が強く漂います。
その2「お膝送りをお願いいたします」
あまり聞き慣れないフレーズだけに、さりげなく口にすると「おっ、この人やるな」と思ってもらえます。畳の部屋や長椅子、電車のロングシートに座るときに、先に座っている人にもう少し間隔をつめてもらいたいときの挨拶。使うときは、頭に「恐れ入ります」「すいませんが」といった前置きをつけます。こう言われたときは、すでにキツキツだったとしても、がんばって詰めるのが大人の義務。けっして舌打ちなどしないようにしましょう。
その3「○○さんにやってもらえたら仕事もさぞ喜ぶと思います」
頼みごとをするときは、相手を張り切らせるのが大人のマナーであり承諾してもらう可能性を高めるコツです。気の置けない同僚や先輩に手のかかる仕事を頼みたいときには、このフレーズを使ってみましょう。本来は無機質なものである「仕事」を擬人化して、さも感情があるかのように扱うことで、ニヤリとしてもらうことができます。ただし、真面目なタイプの先輩に使うと、「どういう意味だ?」と聞き返されるかも。
その4「どうかご斟酌ください」
大人は時には、情に訴えて頼まざるを得ない場面もあります。この場合の「斟酌」は、事情を汲むという意味。自分もいろいろつらい立場であることを匂わせて、引き受けてもらえないと困るという気持ちを伝えることができます。もちろん、実際に「そりゃたいへんだ」と納得してもらえる事情がないと、このフレーズを使っても「知らねえよ」と思われるだけですけど。
その5「要望ばかりで本当に申し訳ないのですが」
時には逃げ道をふさいで断わりづらい方向に持っていくのも、物事を頼むときの大人の頑張り方です。行政の担当者やヤル気のない先輩社員が、のらりくらりとかわすばかりでぜんぜん動いてくれないときは、ちょっとドスをきかせつつこう言ってみましょう。下手に出ているように見せつつ、秘めた怒りを伝えることができます。もっとも、あまりにも話が通じない相手に言っても、付け上がらせるだけで逆効果になるかも。
ちなみに、絶賛発売中の『大人の言葉の選び方』では、「頼む」のほかにも「誘う」「断わる」「感謝する」「謝る」「ホメる」「叱る」などなど、幅広いジャンルの言葉が紹介されています。みなさまに読んでいただけたら、本もさぞ喜ぶと思います。ここはひとつ、お骨折りをお願いできないでしょうか。ひょっとしたら宣伝っぽく見えるかもしれませんが、どうかご斟酌ください。
文=citrus 石原壮一郎