幸せになることが、過去の私に対する最大の復讐になる【ちゃんもも◎インタビュー中編】
公開日:2016/7/20
強烈な個性を持ち、規格外のアイドルとしての活躍するちゃんもも◎さん。両親の死、整形、リストカット……。それらを乗り越え、表舞台に立つ彼女の中に芽生えたのは、甘い外見からは想像もつかないような人生観だ。インタビュー中編となる今回は、そんな彼女の内面に迫っていく。
中高生の女の子に届けたかった初エッセイ
ちゃんもも◎さんは、自著『イマドキ、明日が満たされるなんてありえない。だから、リスカの痕ダケ整形したら死ねると思ってた。』(ワニブックス)の中で、自身の半生を赤裸々に明かしている。過去と向き合い内面を吐露する作業は、苦痛ではなかったのだろうか。
「書き始めた時は全然そんな風に考えていなかったんです。でも、いざ書いてみると、ものすごくツラかった……(笑)。それは、過去の経験でできたかさぶたを剥がしていくような作業で、思い出したくないことも思い出してしまうし、途中で投げ出したくもなりましたね。だけど、カタチにして良かったと思います。ただのツラいことで終わっていたはずの私の過去が、こうしてカタチになることで、自分のため、家族のため、そして読んでくれた誰かのためにもなっているとしたら、こんなに良いことはないなって」
〈竹内桃子〉として生きてきた人生を、ここで完結させる。結果としてそれは、ちゃんもも◎さんにとってプラスになった。そしてさらに、思いもよらぬ読者からの反響を集めた。
「文章を横書きにして、こんなタイトルをつけたのは、中高生の女の子たちに向けて作りたかったからなんです。だけど、そういう子だけじゃなくて、大人の男性や主婦の方も読んでくれて、目線が異なる感想をたくさんいただきました。30代の男性からは、『この本の中に自分がいた。自分も仕事を頑張ろうって思ったよ』っていう感想が届いて。多分、上手くいかない毎日に対するストレス、変わりたいっていう想い、周囲の目ばかり気にしてしまう生き方、そういう部分で共感してくれたんじゃないかなって思います。お子さんの本棚でこの本を見つけた主婦の方からは、『どんなタイトルだよ!と思って読んでみたら、家族に対する想いが綴られていて、感動しました』って言ってくれました。私と同じようにリストカットがやめられない人からも、『支えられた』っていう感想が届きましたね。もちろん、批判的な意見もありましたけど、決して不幸自慢がしたかったわけじゃないっていう強い気持ちがあったので、なにを言われても平気でした」
想像力がなければ、誰かを傷つけてしまう
同書の中では、両親が亡くなった直後に親戚から受けた、ひどい仕打ちについても書かれている。そういった経験を経て、ちゃんもも◎さんは、人間という生き物をこう捉えるようになったという。
「人間って、他人の気持ちを隅々までは想像しきれない部分があると思うんです。もしかしたら親戚の人たちも、私を傷つけるなんてつもりはなかったかもしれないし、逆に私も、当時を振り返って申し訳なかったなって思うこともあります。だからこそ、今後は“そうかもしれない・そうじゃないかもしれない”ということをできるだけ想像し、念頭において行動できるような大人になりたいです」
人間という生き物を、真っ直ぐに見つめるちゃんもも◎さん。その視線があれば、これからも彼女の世界は拓けていく気がする。
「幸せになりたいです。それが復讐でもあり、恩返しでもあると思うから。私が幸せになることで、過去の鬱屈とした自分に対して復讐ができるし、両親や応援してくれる人たちに対しては恩返しができる。相反することのように思えるかもしれませんが、結果としては一緒ですよね」
若干25歳とは思えないほど研ぎ澄まされた感性。それはもちろん、過去の経験から培われた部分もあるだろう。しかし、それだけではない。ちゃんもも◎さんを語るうえで、その読書体験については外せない。インタビュー後編では、ちゃんもも◎さんの読書遍歴について、彼女と一緒に振り返っていこう。
インタビュー後編は7月21日(木)17時30分公開!→https://develop.ddnavi.com/interview/311342/
公開済みのインタビュー前編はこちらです→https://develop.ddnavi.com/news/311299/a
(プロフィール)
ちゃんもも◎●1991年、神奈川県生まれ。『テラスハウス』(フジテレビ)に、初期メンバーとして出演。2014年、アイドルグループ「バンドじゃないもん!」に加入し、天照大桃子として活動中。自著『イマドキ、明日が満たされるなんてありえない。だから、リスカの痕ダケ整形したら死ねると思ってた。』の執筆や、雑誌でのコラム連載など作家としての顔も持つ。ラジオ番組「soraxniwaFM 空と庭とちゃんもも◎と」(毎週水曜16:00〜17:00)ではレギュラーパーソナリティを務める。
<ライブ情報>
バンドじゃないもん!全国ツアー2016~てっぺん目指そうぜ!武者修行編~
ツアーファイナル@豊洲PIT/日程:7月31日(日)/会場:豊洲PIT/開場 17:00、開演 18:00/チケット:前売り4800円(ドリンク代別)、当日未定
https://banmon.jp/contents/30345/
取材・文=五十嵐 大
写真=飯岡拓也